第2話 嫉妬
第26話 嫉妬
カイン・ローエンド
このチェンバレン王国の王子であり、
そして、エレナの、いやエレスの婚約者でもある。
私たちは、彼に王宮の中へ連れて行かれた。
私たちは、この後カインと私たちで夕食をとる。
大きなテーブルの上には、豪華な高級料理が並んでいた。
だが、私はそんな普通の庶民が一生かけても食べられない食事を前にしても、手がつかなかった。
彼に話を振られても、そっけない対応をしていた。
一方エレスとカインの2人は、話が弾んでいる。
和気あいあいとしている。
それがまた私をいらつかせた。
そうである。私は彼に嫉妬しているのである。
いや、エレスを彼にとられる危機感を募らせていた。
この後、3人で中庭を散歩することになった。
そして、二人の会話が幼い日の思い出話に花を咲かせた後、エレスが私に、2人きりで話かあるからしばらく席を外して欲しいといってきた。
☆☆☆☆☆☆☆
私たちは、宮殿の中の部屋にいた。
きらびやかな装飾品と、豪華な家具が置いてある。
鏡の前に座って、エレスが櫛で髪をといていた。
私の方はというと両腕を組んで、広い部屋をひたすらグルグル歩いていた。
「何をいらついてるの。マリー。」
「だって、あの、カインって人、彼はエレスの婚約者なんでしょう。
これが落ち着いていられますか?」
それにさっき、あいつと何の話をしたんだ。
「それがどうしたのよ。」
「あの人にエレスがとられる。」
「バカね。婚約者っていうのは、あくまでもリバンドンが存在していた頃の話よ。」
エレスが振り返っていった。
「もう、私の故郷の国は、かつてのリバンドンはもうないの。」
「でも、帝国からリバンドンを取り戻したら、王国を再興するために、エレスが王妃に返り咲くんじゃないの。」
私は、彼女の本心を聞いてみた。
お姫様に戻るのか、私とともに冒険者を続けるのか?
「私は、もう、リバンドンの王姫には戻るつもりはないわよ。
リバンドンの再興は、もう、カインに、チェンバレンに任せるわ。
もともと、お互いの両親が決めた結婚だったし、さっき、そのことについてカインとも話し合ったのよ。
彼は、まだ私の事を諦めた訳じゃないけど、そういう事なら、婚約の事は1度白紙に戻そうって、言ってくれたわ。」
そうか、あのイケメン、紳士なんだな。
「そ、それじゃあ!!」
私は歓喜の声をあげる。
「ええ、すべてが終わったら、私はまた、冒険者に戻るつもりよ。
王宮での退屈な暮らしより、そっちの方が性にあってるから。」
「やったー。」
私は飛び跳ねて大喜びする。
エレスも、私と同じ事を考えてくれていた。
私たちの気持ちは通じ合っている。
その思いは間違いではなかった。
「でも、別に、あなたとパーティーを続けるとは限らないわよ。
私は私で、一人で好きにさせてもらうわ。」
エレスはそう言うと、ベッドの中に入っていった。
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