第11話 水上戦
第24話 水上戦
「来たわよ!!」
1人先頭を行くエレスが、真っ先に気がついた。
前方から、魔物の群れが接近して来た。
「さあ戦いをはじめるわ。
あなたたちは、今はとりあえずは、防御を最優先にして。
まず、自分たちの身は自分たちで護れるようになりなさい。」
「 了解です。」
3人は顔をあわせたあと、大きく返事をした。
以前の新人研修では、フィルにはエレスを護衛についてもらった。
だが今はもう、フィルも一応は冒険者の仲間入りだ。
しかも、日本の武道、空手をはじめとする様々な武術を、基礎ではあるがそれなりにマスターしている。
精神的にも成長している。
そして何よりも、仲間がいる。
3人の連携があれば、多少の魔物なら跳ね除けられるはずだ。
接近してきた魔物。何匹かのイエロースライムの群れに、エレスが氷の魔法、ブリザードブレスを発射した。
イエロースライムの粘着質な身体が凍りつく。
私は一気に駆け出すと、エレスの前方に踊りでて、ハンマーを取り出す。
そして次々と凍りついたイエロースライムたちをハンマーで打ち叩いて砕く。
空中から、今度はスモールフェニックスと呼ばれる巨大な鳥の魔物が、数匹飛んで来た。
スモールフェニックスは空中から炎の中級魔法、ファイラを次々と発射して来る。
「チェンジよ!!マリー」
私は後方へと反転して転がり込むと、前方に再びエレスがおどり出た。
そして、エレスは風の魔法剣、エアロソードでファイラを斬りつける。
ファイラはエアロソードから放出される風圧で四散し、吹き飛ぶ。
さらにその風圧は空中を切り裂き、空中の気流を変化させて、小さな乱気流となる。
空を飛ぶフェニックスたちがバランスを崩して、空中で混乱している。
アイスアロー!!
私は氷の魔法具と精神を接続させると、
連続で氷の矢を発射する。
だが、私の発射したアイスアローは、全てフェニックスから離れた位置の空間に発射した物だった。
そう、ある考えがあって、わざと別方向へと発射したのだ。
発射されたアイスアローの方向から、氷の矢は全弾外れたかと思われた。
ところが、アイスアローは空中の乱気流に巻き込まれて軌道を変化させ、連続でフェニックスたちに命中していく。
天気予報士の資格を持つ(嘘です)、高度な計算能力を持つ 私は、乱気流の動きを見て気流の変化を読んで、アイスアローを発射したのである。
「さすがです。お姉様がた 」
「凄い。私の遠隔魔法とは大違いです。」
「まるでお互いの心が、読めているかのようなコンビネーションだ。」
フィルたちが、感嘆の声をあげた。
「よし、今日も余裕だわ!!」
私がそうあからさまに油断すると、地面が割れた。
私とエレスの立つ足元の地面が沈み、そこから大きな湖が出現した。
エレスは風の魔法、エアロレビテトで足元に風の気流を発生して、水の上に立った。
私は跳躍して、折れた大木の上に立つ。
「お姉様!!」
大地からフィルたちが心配している。
バシャアッ
水しぶきがあがり、レッドピラニアと呼ばれる巨大な魚の魔物が次々と飛び出してきた。
水面に浮かぶエレスは、跳躍とステップでそれを難なくかわし、レイピアで切り落としていく。
私のところにも、ピラニアが水面から飛び出し襲ってきた。
私は狭くて揺れる、足場の悪い場所にいるので、対応できない。
「マリー!!」
エレスが氷の魔法[ブリザードブレス]で私のいる大木の近くの水面を凍らせてくれた。
私は大木からその氷の浮島に飛び移る。
新しい魔法具に接続するまで、少し時間がかかるので、私は逃げ続けなければならない。
エレスは自分に襲ってくるピラニアたちで手一杯のはずなのに、次々と氷の魔法で
私の近くの水面を凍らせてくれる。
私は跳躍を繰り返しながら、その氷の浮島に次々と飛び移り、移動して逃げ延びていく。
氷の浮島に飛び移りながら、飛んでくるピラニアは剣で何匹も迎撃した。
華麗な剣術でピラニアを斬っていく。
ピラニアが、口から水鉄砲を発射した。
私は瞬時に盾を出して受け止めた。
なんとピラニアが学習して、遠距離攻撃をはじめたのだ。
私は氷の浮島を飛び移りながら、盾でその水鉄砲を防いで逃げるだけである。
魔法具の接続が完了した。
電撃の腕輪の魔法、サンダーボルトが発射される。
水の生き物とは相性がいいはず。
ところが、高速で水面から飛び出すピラニアは、サンダーボルトを次々とかわしていく。
サンダーボルトが命中しない。
キャッ
水鉄砲が私の盾を弾く。
「マリー 」 エレスが心配する。
私はアイテムボックスからナイフを数本、取り出すと、次々と飛んでくるピラニアに投げつける。
投擲の技術も天才的な私は、熟練者の高度な技量で、10数匹のピラニアに次々とナイフを命中させていく。
だが、巨大なレッドピラニアに致命傷を与えるほどではない。
サンダーボルト!!
再び私は、サンダーボルトを発射した。
高速で水上に飛び出すピラニアは、さっきと同じく余裕で交わしたかと思いきや。
サンダーボルトの軌道が大きく変化して、ピラニアに突き刺さった金属のナイフに流れ込んでいく。
ナイフが避雷針となり、サンダーボルトの電流を誘導させてピラニアに命中させたのだ。
私はさらに、何発もサンダーボルトを発射して、ピラニアを全滅させる。
ライザ「凄い!!こんな戦い。見た事がない。」
リズ「瞬時に、こんなに冷静に対応できるなんて。」
フィル「マリーさん、ナイフの投げ方も教えて下さい!!」
3人が再び大喜びする。
私はしばらく、氷の浮島で休んでいた。
数ある作品の中から、この作品を選んで頂いてありがとうございます。
☆☆☆☆☆
面白いと思っていただけた方はぜひ、好評価ポイントとブックマークをご活用ください。




