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第6話「1コーナー」

翌日、決勝。

グリッドに全車が集結する。


「飛花、今日は1コーナーに注意だ。DRSは1コーナーに入る前に自分で切るんだぞ。」

「大丈夫ですよ。わかってます。」

「お前、熱くなると制御効かなくなるんだから。」

「昔それで1コーナー吹っ飛んでいったマシン見たことあるからな?」

「大丈夫ですって。さ、マシンに戻りましょう。」


飛花と松下は別れ、各々のマシンのもとに向かった。




レース34周目。

ほとんどのマシンがピット作業を終え、レースにも落ち着きが訪れていた。

「飛花は何位?」

『飛花は現在8位だ。』

「タイヤは?タイヤは何を履いてる?」

『ミディアムだ。4周前に交換した。』

「了解。それと、1コーナーでオーバーテイクする時、DRSをコーナー進入前に切るように念を押しておいて」

『了解』




『飛花、松下から伝言だ。1コーナー進入前にDRSは絶対に切れ、とのことだ』

「わかってるって。今までだってちゃんと切ってきたじゃん」

『それでも、お前は本当になにか起こしそうだからな。言ったからな。1コーナーはDRSを()()()切るんだ。わかったな。』





42周目

飛花は前のマシンを追い抜ける位置まで差を詰めてきた。


「この距離なら、DRSで抜ける。」


鈴鹿サーキットはホームストレートだけがDRSゾーンに指定されている。


「DRS起動!」

飛花の乗る76号車が一気に差を詰め始める。


一気にそのままサイドバイサイドに持ち込む。

1コーナーにさしかかる。


レースではコンマ数秒がすべてを左右する。

それを彼女は身をもって味わった。


1コーナーに進入する瞬間、一気にリアタイヤのグリップが抜ける。


スピン状態に陥る。

そのまま1コーナー外側のタイヤバリアに激突する。

マシンは1回転し、逆さまに着地。

マシンから次の瞬間、火柱が上がった。


松下はホームストレートを通過中だったため、1コーナーを通る。その時に確認できる。


赤旗が宣言された。


「燃えてるじゃねぇか。」


「飛花は降りてない?」

『まだ降りてない。閉じ込められた可能性が高い』

「まずいじゃん…」


マシンをグラベルギリギリで止め、降りる。


炎が上がるマシンに近づく。

マシンの中には見覚えのある花柄のヘルメット。飛花のものだ。


とにかく消火器が必要だ。

「早く!消火器!」


1本消火器を受け取り、それをマシンに向ける。

吹き付けるも、勢いは衰えない。


「マシンの後方に確か…」

さらに松下は燃え盛るマシンに近づく。


熱い。あの日を思い出す。


「あった」

そこにはEと書かれたステッカーが貼られていた。


そのスイッチの紐を引っ張る。


特に変化はないが、これで火災は落ち着くだろう。


松下が使ったスイッチの正体は電気回路の強制シャットダウン装置兼消火装置。

これでパワーユニット、それらの関連する電気回路を強制シャットダウンし、同時に消火装置を起動させられる。


その後、松下は飛花を引きずり出す。


グローブはもう焦げている。

でも、頭と体は大丈夫そうだ。


すぐに駆けつけた救急隊に引き継がせる。


自分もとにかくピットに戻らないと。

20号車はピットに向かって走り出した。


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