第5話「日本」
F1サーカスは早くも鈴鹿サーキットに来た。
「どうだ、飛花。鈴鹿走ってみて。」
「やっぱり楽しいのに変わりはないです。でも、思ったより気温が上がらなくて、タイヤに熱が入らない心地がします。」
「じゃあ、VERTEXのサスペンションに俺のLexのセッティングを応用させる。熱の入りは改善されると思うぞ。」
「いいんですか?」
「だって、これを狙って俺はLex Craftのサスペンションを選んだんだから。」
松下は飛花を担当するメカニックを捕まえ、セッティングをさせるように指示する。
メカニックたちはすぐに作業に取り掛かった。
午後、予選が始まる。
『アスカ、タイムは悪くないぞ。あとは1コーナーの飛び込みを意識してみよう。』
「了解!」
松下との共同セッティングが功を奏し、トップ5に食いつくタイムを記録していた。
予選終了
20号車 松下 1位
76号車 田邊 5位
「飛花、やったな。」
「いえいえ、松下先輩のおかげですよ。あれがなければトップ5どころかトップ10にもたぶん入れなかった。」
「じゃあ、明日は表彰台かな?」
「いや〜、まだそこまでのレベルに達してないかなって。」
「十分狙えるって。」