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プロローグ
「田邊飛花!スーパーフォーミュラで初の女性チャンピオンです!」
私はいつだって一番を求めた。
学校の運動会でも、カートでも、F4でもF2でも。
私は一番にこだわってきた。
当時、その理由はわからなかった。ただ、根拠もなく湧き出ていた。
ただ、レーシングカーに乗ると、1位を取りたい、という衝動に駆られていたのだ。
今思えば、兄の、亮を超えたかった。その気持ちに駆られていたのだろう。
今私がいるのは世界最高の舞台、F1。
今まで、女性のF1参戦者はいたが、表彰台に上がった選手はまだいない。
私はF1の、表彰台の1番高いところを目指して走り出す。
1台のF1マシンがピットガレージを飛び出していく。