初めてのクエスト!
「F級の任務は薬草とりばかりだね!」
みなさんご存知の通り、ギルドはランクで受けられるクエストが分かれている。もちろん新人の俺たちはFランクだ。とりあえず、薬草でも取りにいくか。
「もぉ〜!全然取れないよ!」
いや、取れてはいる、取れてはいるんだけど、フェイが取った瞬間勢いで灰みたいにチリチリになるんだ!
薬草、トトンコ草、またの名を『生きる薬草』っていうらしい。人に危害を加えることはしないらしいけど、身の危険を感じたら逃げていくんだ。そのせいか、フェイを見た瞬間すぐ逃げていく。まあ関係ないんだけどな。
ちなみに俺が取ろうとすると普通に噛んでくる。危害加えるじゃねぇーか!これは無理だ!一旦撤退!
「はっはっは!兄ちゃん達、トトンコ草を一体も取れずに帰って来たのかよ!」
コワモテ先輩ひどいよ!トトンコが、トトンコが噛んできたもん!
「そうだったのか、それは、俺が悪かった!すまん」
やっぱコワモテ先輩はいい人だわ。
「謝罪と言っちゃ何だが、ちょうど今日新人が来たらしいぜ。一緒にパーティーを組むのはどうだ?」
なるほど、流石先輩!早速聞いて来ます!
って、あの女の人か、何というか凛としていて、声をかけずらいな。
「ねぇねぇ!あなたが新人さん?一緒にパーティー組もうよ!」
フェイ、ナイスだ!これで関係を作れば!
「いえ、遠慮させていただきます。」
いやあかんわこれ。
「私は剣士です。剣士とは信頼できる仲間に背中を預ける役職です。失礼ながらあなたの実力では背中を預けることに恐怖心を覚えてしまいうほどです。」
ダメだ、俺に対する評価が丸まってるダンゴムシよりも低そうだ。まあ別に間違ってないがなクソが。
なら俺と戦え!実力の差ってもんを見せてやる!
「分かりました。私があなたに負けたのなら、あなたのパーティーに入れさせていただきます。しかし!もしあなたが負けたのならそこのフェルさんを私のパーティーに入れさせていただきます。」
ああいいよ!やってやるよ!俺もなんか腹が立ってきたわ!
どうしようフェル、俺が勝てるわけねーじゃん!
「そんなこと言われてもフェルは何にもできないよ!今から頑張って鍛錬するしかないよ!」
いやアイツ絶対強いじゃん!明日だよ!決戦!今からじゃ奇跡が起きないと勝てねぇよ!
「おい兄ちゃん聞いたぜ、新人と戦うんだってな、兄ちゃん戦えんのか?尻尾巻いて逃げ出すなよ」
あ、コワモテ先輩!俺が戦えるわけないじゃないですか!何かアドバイスくださいよぉ〜!というか、腕相撲じゃないんですか?
「ああ、ちゃんとした決闘ならギルドは関係ないからな。アドバイスとまでは言わねぇが、武器でも探したらどうだ?とりあえず、俺は兄ちゃんが大衆の前で恥を晒さないようにしておくぜ。」
確かに、俺今まで武器持ってなかったな、フェルは拳という最強の武器持ってるし。よし、武器屋に行こう!
みんなには黙ってたけど俺、実は剣道習ってたんだ、なんてことはないが、片手剣、悪くねぇな。何というか、軽くて使いやすいな。これなら、よし、フェル!ちょっと付き合ってくれ!
「わかった、あの訓練場で少し戦おう!」
剣折れた。木剣だけどさ、折れたんだけど。俺がさ、剣を振るじゃん。そしたらさ、その剣をフェルちゃん殴っちゃったの。で、折れた。何でだよ!おかしいだろ!また違うの使えばいいし。もう俺一人で訓練するよ。ぐすん。
「ア、モウケンナイヨ。」
もう無いのかよ木剣!
翌日
「な、大丈夫か!まるで世紀末にでもいそうな人になっているぞ!」
へへッ、大丈夫だぜッ、俺の訓練の成果ッ、見せてやるぜッ、へへッ。
っと、落ち着け俺、とりあえず木剣はモヒカンの人達に貸してもらったし、後は訓練の成果を見せるだけだ!
「わかった、なら、いいでしょう。私も一人の剣士として、あなたに一切の遠慮をせず戦わせていただきます。」
ああ、よろしく頼むぜ!
「我が名はロンリエッタ。貴方に決戦を申し込む。貴方、名前を何と申す。」
俺の名前は明日無糸!お前に勝ってお前をパーティーに入れてやる!オララァ!いいぞ!押してる!これなら勝てるっ!?いっけぇぇ!
なっ!ぶろあぁぁぁ!
「私の勝利だ。では、要望した通りフェルさんは私のパーティーに入ってもらいます。」
く、クソォ。ダメだった。この戦いに負けて、フェルまで。もう、俺はだめなのかもな。これからどうしようかな。くうぅ。
「それと、もし良ければだが、ナイト、貴方もパーティーに入ってくれないか?」
へ?あ、今なんて?
「貴方もパーティーに入らないかと言ったんだ。今日の決戦を見て分かった。貴方の雰囲気、気迫、そのどれもが昨日と似て非なる物だった。貴方なら、私の背中を任せられる気がした。」
か、神様だ!神と呼ばせてください!
「そういうのはやめてくれ。パーティーメンバーじゃないか。みな平等な関係でいこう。」
オナシャス!
明日も20時半投稿を予定してます。