感情請負人

葛藤

「おい山下！お前さっきから何ぼーっとしてるんだ。どの感情をもらうのかもう決めたのか？」

今俺のことを読んだのは上司の瀧さん、どの感情をもらうかってのは試験の前にあらかじめ決めておかないといけないもんで俺はまだこれが決まっていない。

何でかっていうとさっきも言ったように感情をもらうと真逆の感情を失うことになる。

喜の感情をもらえば怒の感情を失い、怒の感情をもらえば喜の感情を失う。哀の感情をもらえば楽の感情を失い、楽の感情をもらえば哀の感情を失う。

俺も最初は怒の感情が一番いらないからいいやなんて楽なこと考えてたけど喜の感情をもらってきた人を見たら何されてもずっと怒れなくて笑ってるか、泣いてるかのどっちかなのを見てると「ああ自分の感情を素直に出せないのはどの感情であっても辛いものなんだな」って実感させられたよ。