ハトポッポ part 1
近所のお使い?絶対やだよ?
「ユウキーーちょっといいか?」
「嫌だ」
「まだ何も言ってないだろう……」
お師匠の頼みなんてロクでも無い事が既に決定している。
「近所の子供がハトを飼いたいらしいんだが、ちょっと捕まえてきてくれないか?」
「なんでハトを飼おうと思ったんだよ!?それに何で俺が捕まえてこなきゃならねぇんだよ!?意味わからんわ」
全く最近のガキはどうなってんだ!?ハト飼いたいなんてロクでもねぇぞ!!家ん中ぷりぷりフンまるけっけにしてぇのかーー?
「仕方ないだろう……これも近所付き合いというものだ。手伝ってくれ、な?」
いや……半径一キロまでが師匠の屋敷の敷地内なんだが……これ近所と認定していいのか?
まあ、屋敷のギリギリ境界線からはそんなに遠く無いのかな……?
「はぁ〜……わかったよ。あとで小遣いな……」
「メンドクセぇ奴だな……わかった、銅貨三枚用意しておいてやる」
「銅貨三枚ッ!?」
おやつじゃん!!
「ハトってそもそもここら辺にいんのか?」
お師匠の敷地内にある森まで来たが、やはりハト一匹探すのも結構大変だ。
アイツらーー気づいたらそこらへんですぐぷりぷりウンコするくせに、探しても見つからんのよ。
「どこかな……どこかな……お?いたいた!!」
「ポポ〜……」
あれってハト……かな?ずいぶんフクロウみたい……でもちっせぇし……顔がハトで体型フクロウーー何だこいつ!!
もうハトでいいや。
「そ〜っとそ〜っと……忍び足忍び足で……捕まえた!!」
「ポッポ〜!ポッポ〜!」
こいつヘンだ!!ポッポ〜って鳴きやがる!!
絶対ヘンだ!あとで新種のハトとして動物学会に報告しよう!
「お……大人しくしろお前、……とって食ったりなんかしねぇってーー!!」
とーー泣き叫ぶハト(仮)を尻目に俺はーー。
「よし!捕まえたし、とっとと行くかーー」
そう思った時だった。
「ボッボーッ」
「……………………」
「ボッボー、ボッボー」
絶対ヘンだこいつら!ボッボーって鳴いてやがる!絶対ヘンだ!!……ってかこっちのハト妙にでかいな……親ハトか?
「ボッボー、ボッボー、ボッボー」
なんか連れてくの可哀想に思えてきたな……。
「……………………やめだ」
子ハト(仮)?を離す。
さすがに近所のちゃいちぃお子さまのお願いとはいえ、親子を引き離して許される道理は無いーー。
「悪かったなハト親子、片方どっちかが死んだら教えてくれ。肉が新鮮な内に食いに来るから。」
半分冗談だが……結構割と美味そうだな。ハトポッポの肉……。
…………ハトポッポーー!!そうだ!!
「お前ら、ちょっとだけ毛もらうぞ!!」
親子ハトポッポからちょっとだけ毛を毟る。見逃してあげたからか割と素直に提供してくれた。
こいつらハトポッポの毛を新種の鳥として生物学会に出せば銅貨三枚どころじゃねえ!!
近所のガキん子には悪ィけどハトはまたの機会だ!!