おやっさん、料理教えてくれ!
「ほ〜う、よく頑張ったじゃないか!ご褒美だ、受け取れ」
お師匠が金貨一枚の報酬をくれた。
色々差っ引いても赤字だけどね!これ!?
「ゴブリンのエキスはまあ……おまけだがよくやったな!うん」
いやこれおまけかい!一番苦労したと言っても過言じゃ無いよ!?
え、ゴブリンの唾液どこに入れたのかって?そんなモン決まってるだろう!?
持ち歩きの水筒だよ!!
全く……明日から水筒新調しないといけないじゃないか……お気に入りだったのに。
「ゴブリンはなかなか難しい生き物でな……なぜかわからんが、この数年間探しても見つからなかったんだ」
それはあんたが強すぎるからだよ!パラメーター天元突破してるあんたがゴブリンの集落なんかに近づいたら自動で集落が崩壊しちまうんだよ!可哀想に、、
「まあ、その気になれば探索魔法を使って炙り出す事もできたんだがな」
やめてあげて!?シンプルにそれゴブリン絶滅しちゃうから。
「そうだ、今日はグレイス君が君に料理を教えたそうにしてたぞ?早く厨房に行ってやるといい」
おやっさん、元聖騎士のクセになんであんな料理上手いんだよ!?ていうか俺料理覚える気ないからね?
「まあ、今日は疲れたんでまたの機会に……」
「もし今回行かなかったら、今後二度とユウキは料理をしないらしいと伝えておくよ」
ひどい!お師匠ひどい!
せめて卵かけご飯くらい作らせてよ!!
「わかったよー、お師匠の鬼」
「わたしが鬼ならお前は小鬼だな」
なんだそりゃ!人をちっちぇえ奴みたいな言い方して。絵本の中のゴブリンじゃあるめえし。
「おっ?来たなユウキ。」
「なんでめちゃめちゃ可愛いクマさんのエプロンしてんのおやっさん」
額の傷が余計にギャップよ?
「これか?これはまあ……昔助けた近所の子どもがプレゼントしてくれてな、最近魔法使いになったらしい。立派に成長していたよ」
余計な泣けるエピソードいらんて。
こっちまで泣けるじゃない。
「で、今日の夕飯何?」
「今日の晩飯はから揚げだ。作れるか?」
「へっ、俺を誰だと思ってやがる?」
から揚げ(揚げるのみ)は得意だぜ!!
「いや、めちゃくちゃデスハードなんだがこれ……」
おやっさんのレシピは薬剤並みに調合がえげつなかった。
鶏肉、しょうゆ、酒、おろししょうが、おろしにんにく、パン粉、小麦粉、チーズ、トウガラシ、コショウレモンを用意して、衣はふっくらとするように作り上げて、油はごま油とサラダ油とオリーブオイルをそれぞれ2対3対5の割合……
「できるかあああああああ!!!」
マジで意味わからん!全料理こんなに凝って作ってんの?おやっさん何?怖ぇんだけど!!
「どうしたユウキ?結構から揚げは簡単な方だぞ?」
ごめんて、おれが悪かったって。
揚げるのは得意なのでお任せくださあああああい!!!
「うん!なかなか良い出来じゃないか?ユウキ、グレイス!!」
そうですか、それはとても嬉しゅうございます。
揚げただけだけど。
「うむ!我の舌もうなっておるよの〜……クッ邪眼が反応しておる!!」
ごめんドロシー、邪眼って言いながら眼帯してない方の右目押さえるとどっちが邪眼かわからないんだぁ。
「うん。悪く無い……普通に美味しい」
じゃあお前が作れよアシュリー!!
いや……やめて、やっぱりやめて。《星の魔術》が使えるアシュリーが作ったら全部星に聞いて完璧クオリティになるから揚げただけの立場の俺何も言えなくなるからやめて。
「よかったな!ユウキ!!お前のお手柄だぞ!!!」
「はっ……ははっ……ありがとう、ございます…………」
俺ぜってぇもう料理やんねぇ!!
PS お師匠は料理の腕は壊滅的で全てが混沌の暗黒物質へと変化するので、お師匠が料理を作る気分の時は全力での一致団結が求められます。