俺はパシリじゃねえ!
「なあお前いい加減働けよ?ニートヒマだろう?」
お師匠カーヴェラがゲテモノを見る目で俺を見てくる。
それ、やめてくんねぇ?
「何度も言うが断る!俺はもう冒険者をやめた!」
「それ威張って言う事じゃないからな?」
お師匠カーヴェラが汚物を見るような目で俺を見てくる。
それ、傷つくからマジでやめてくんねぇ?
「お師匠俺は気づいたんだ!働いたら負けだ!」
「死ねよお前一回」
お師匠カーヴェラにその日、俺は追い出された。
致し方無いとはいえ、ちっちゃい頃から育てた弟子をこうも簡単に捨てられるもんかね。
「ひでぇなお師匠は」
悟りを開いた仙人のように苦笑いしながら寝転ぶ。(追い出されたと言っても一応お師匠の敷地内である)
「あれ、なんだこの紙?」
見れば背中にメモ書きが貼ってある。新手のイジメかな?
手紙には一言こう書いてあった……。
『ドラゴンの爪と魔女の髪、ゴブリンの唾液を集めたら家に入れてやる』
ドラゴンの爪と魔女の髪は市場でがんばれば買えるからいいとしてゴブリンの唾液って何?何に使うの?ていうかなんでゴブリン……何がなんでゴブリンの唾液?
だめだ、ゴブリンの唾液が頭から離れなくなってきた。
ゴブリンの唾液……ゴブリンのエキス……まずい、これはお師匠の新手の洗脳術だ。
お師匠は俺の事をゴブリンのエキスで洗脳しようとしてるんだ!
こんなところで立ち止まっているヒマはない!
一刻も早く品物をお師匠に献上しなければお屋敷に入れてもらえなくなる。
「はぁー、世話の焼けるお師匠だぜ」
グレイスのおやっさんが帰ってきたら入れてくれるかもしれないが、あの人はお師匠がダメと言ったら入れてくれなさそうだな。
ドロシーは……だめだ。あんな中ニ病を着飾ったようなヤバい奴……ちょっと変わった奴に頼るのも無理がある。
「はぁ……アシュリーがいてくれたら何とかなったかなー……」
『は?何言ってんの?何で私がそんな事手伝わないといけないわけ?意味不明?』
だめだ、この屋敷一番の問題児はあいつだった。なんであんなちっちぇえ奴があんな天才なのか俺にもよくわからん。
「はぁ……頑張って集めてくるか……」
お師匠の品物頑張って集めてこよう……
いやいや、よくよく考えたらこれパシリじゃねぇか!!!
PS お師匠は世界一強いのでどんなに頑張っても勝てません!(マジに)