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こちらの作品書籍化しました!
タイトルを、『極悪非道な性癖貴族が努力したら誠実ハーレムつくれました』に変更しましたので、気になる方はぜひとも購入してくれると嬉しいです!
「これより、エンドリアの街へと向かう。ザンゲル、詳しい指示を頼む」
「はっ! 先ほど指示出した通り、四人一組のチームで対応にあたるように! 避難よりも魔物の討伐を最優先にして対応しろ!」
『はっ!』
ザンゲルが指示を出したところで、こちらに視線を向けてくる。
俺は一つ頷いてから、片手を振り上げる。
「これより、我が領の危機を救いに向かうぞ!」
『おおお!』
兵士たちが元気よく声を張り上げたところで、俺はすぐに空間魔法を展開する。
一気に兵士たちとともに移動した先は、エンドリア。
場所はエンディール家の屋敷だ。
俺も何度か訪れたことがあるので、空間魔法で簡単に移動することはできたのだが……エンディール家は慌しい状況だった。
今まさに怯えている様子の兵士に声をかける。
「おい、俺はヴァリドー家当主のレイス・ヴァリドーだ。ブライトはどこにいる?」
「れ、レイス様!? な、なぜここに!?」
「理由を説明している暇はない。ブライトは今どこで指揮をとっている?」
「ぶ、ブライト様は……わ、分かりません……魔物が街に来てから、すぐに姿を消してしまい……」
おい! どこかで聞いたことあるぞ!
さすが、俺の父が認める貴族なだけはある。
俺はポリポリと頭をかきながら、すぐに指示を飛ばす。
「分かった。ならばここからは俺が指示をとる」
「そ、それでしたら……フィーリア様と合流して確認していただけませんか?」
「……フィーリア様?」
なぜここでその名前が?
「は、はい! 今屋敷に来ていて……、結界魔法を展開するように指示を出したのもフィーリア様ですので……」
「……」
あいつ、運悪くないか?
とはいえ、ブライトがいない状況で指揮をとってくれているのは感謝しかない。
……ていうか、もしかしてブライトが逃げ出したのも俺の責任になるのだろうか?
一応、俺が……というかヴァリドー家がブライトにこの街を任せているわけだし……。
俺、フィーリア様に怒られるのだろうか? 中間管理職はこれがあるから嫌なのだ……。
上から怒られ、下からも色々言われるんだから。
俺はため息混じりに頭上を見上げると、確かに結界魔法が展開されていることを理解する。
ワイバーン、か。空にはワイバーンや蝙蝠系の魔物が飛んでいるのが見える。
ゲームの最初のイベントと考えると、魔物の数はかなりのものだ。
まるで、この街を破滅させるかのような勢いだ。
ゲームの最初のイベントなら、魔物たちの狙いはセイリンのはずだ。セイリンを連れ去るよう、魔族の指示を受けているのだが……あの数はいなかったはずだ。
それに――。
俺は魔物の端のようにいた死神を見ながら、顔を顰める。
……あれは、バッドエンドを選択した後に出てくる死神に似ているな。
死神のような魔物自体は、ゲームプレイ中には出て来なかった。
ただ、そいつに似ている存在は、恐らくこのゲームのプレイヤーならほとんどが知っている。
バッドエンドに到達したときに、いつもアドバイスを出していた死神のキャラクターがいた。
見た目は可愛らしい死神なのだが……もしも、こいつがその部下だとしたら……色々と疑問が浮かんでくる。
その死神……名前はヘル、だったか。
ヘルは、ゲームプレイ中に出てくることはないのだが、バッドエンドを回避するためのアドバイスをくれるキャラクターだった。
間違った選択肢を教えてくれたり、ボス戦の場合は弱点や倒し方のヒントをくれたりしてくれるのだ。
ゲーム本編には出て来ないので、疑問に思われていたが可愛らしい見た目なので、密かに人気ではあった。
ゲームをプレイしている男たちからすれば、可愛いければなんでもいいのだ。
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