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ちなみに、人間、魔族側についたときのルートでは、すでにセイリンは魔族たちによって改造されており、殺戮兵器として中ボスで戦うことになる。まあ、その状態がセイリンの暴走状態で初めて見ることができるのでプレイヤーたちとしてはそこも、胸糞なのだ。
つまりまあ、最悪なストーリーを開始してるスザクだが、セイリンが唯一安全な状態で生き延びているルートでもあるわけではある。
……さて、今後どうするか、だな。
魔族たちはセイリンの居場所を特定する手段を持っているようで、何度も襲撃されることになる。
こいつらが、まじで強すぎるんだよな……。
ここからいきなり死にゲーみたいな難易度になるため、多くのプレイヤーが挫折し、動画サイトなどでストーリーだけを追っていたほどだ。
晩餐会が終わった次の日。
これからどうするかと色々考えつつ、ブライトの部下がスザクとセイリンを連れて来るのを待っていたときだった。
「レイス様!」
慌てたような声とともに、ザンゲルが部屋へと突撃してきた。
ザンゲルには、ヴァリドールの転移石前で待機してもらい、スザクとセイリンを連れてくるように命じていたのだが、どうしたのだろうか?
「どうした?」
「エンドリアが現在大量の魔物に襲撃されております……!」
「……なんだと?」
ザンゲルの言葉に、俺はすぐに席を立つ。
いくつかストーリーのイベントを思い出すが、魔物が襲いかかってくるイベントは……あっただろうか?
確か、スザクがセイリンと初めて会う時に、セイリンが魔物から襲われているのを助けるイベントがあったが……もしかして、それか?
だとすれば、それほど慌てるようなものではないのだが……だとしても、ストーリーの順番が狂っている。
俺が未来を変えたのが原因か?
スザクとセイリンは気にかかるが、今はそれより……エンドリアの街だな。
「エンドリアで対応はできているのか?」
「エンドリアのギルドを通じて連絡が届いているようですが、魔物の数が多く、エンドリアの兵士たちだけでは対応が間に合っていない状況です……。転移石も使えない状況で、援軍も間に合わない状況だそうです」
「分かった。ザンゲル。すぐに動ける人間を集めて部隊を編成してくれ。パソコンを使ってヴァリドールのギルドにも連絡してくれ。ヴァリドールにもしも魔物が襲ってきた時は、冒険者を中心に対応してもらう」
うちの兵力は確かに上がっているが、それはあくまで平均値が高いだけだ。
まだまだ数は少ないため、兵士たちがいない間に何かある時は冒険者たちに頼らざるをえない状況だ。
「承知しました!」
ザンゲルがすぐに声を張り上げ、俺はリームの魔力を探してその場へと移動する。
場所は食堂だ。ちょうど趣味の料理を楽しんでいるところだったようだ。
「あら、レイス? どうしたのよ?」
「エンドリアの街が魔物に襲撃されたらしい」
「へぇ、じゃあ私も出撃?」
「いや、転移石が使えない状況だ。俺が出撃するしかないんだが、ヴァリドールも何があるか分からないからな。リームにはヴァリドールに残ってもらって、何かあったときの指示を出してくれ」
「分かったわ。そっちは大丈夫だとは思うけど、気をつけて戻ってくるのよ?」
リームはそう言ってから、ぎゅっと俺に抱きついてきた。
俺もそれを抱き返すと、彼女はしばらく鼻息荒く呼吸していた。
顔を上げると満足げな様子のリームは、すぐに料理を中断して動き出す。
……これで、ヴァリドールは大丈夫だろう。
リームの指揮能力の高さはゲームでも十分知っているからな。
「レイス様! 兵士たちの準備が整いました!」
ザンゲルが管理している近衛兵の一人が、俺を呼びにきてくれた。
彼もまた魔力ソナーの質が高いから、俺の居場所が分かったのだろう。
「分かった。訓練場か?」
「はい!」
「すぐに行く。ついてきてくれ」
俺は空間魔法を展開し、俺は彼とともに訓練場へと向かった。
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