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ゲームの悪役キャラに転生した俺が、裏でこっそり英雄ムーブで楽しんでたら、俺のことが大嫌いな許嫁にバレてしまった  作者: 木嶋隆太


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 ブライトは口を滑らせた人間について考えていたようだが、まあクーラルという情報屋に調べられたとは思っていないだろう。

 もちろん、クーラルの名前を出すつもりはなく、俺は冷たい表情とともにブライトを見る。


「ブライト」


 彼の名前を呼ぶ。なるべく威圧感を込めてだ。

 俺の気持ちは十分に伝わったようで、ブライトは怯んでいる。


「今、お前のところで捕まっている二人は……俺の知り合いなんだ」

「……え!?」


 驚いたようにブライトは叫び、それから顔を青ざめさせていく。

 大変なことをしてしまったということに気づいたようで彼の表情がどんどん険しくなっていく。

 それほど暑くはないというのに、額にもびっしりと汗が浮かんできている。


「だから、できれば二人を解放してほしいと考えているのだが……ダメか?」

「も、もちろん今すぐにでも解放させます!」

「そうか。話が分かるやつで助かったよ。……ただな、ブライトよ。……あまり、やりすぎるなよ?」


 俺は少し殺気を込めてブライトに笑顔を向けると、彼も必死に笑顔を浮かべて頷いた。

 ……これだけ言っておけば大丈夫だろう。

 こちらは明言こそしていないが、これでまだ好き放題やるというのなら、彼の更迭も考えなければならない。

 彼の嗜虐的な趣味を除けば、今のまま続けてもらっても構わない。

 正直言って、俺はメインストーリーの修正の方で忙しいので人材の用意と派遣まで構っていられないからな。


「とにかく。明日にでも二人を屋敷にまで連れてきてくれるか?」

「かしこまりました!」


 ひとまずこれで、スザクとセイリンの身柄は確保できるだろう。

 ……もう、二人が出会ってしまった以上、二人をメインに据えた物語は始まってしまったのかもしれないが、俺の監視下に置いておけば、最悪のエンディングだけは回避させられるはずだ。

 ていうか、回避しないと俺もろとも世界が崩壊するからな。

 なんとしても、修正しないとな……。



 このゲームには、大きく分けて人間と魔族という種族がいる。

 現在、人間と魔族は非常に仲が悪く、北の大陸では今もいつ大戦が始まるかという状況が続いている。

 とはいえ、この大陸では魔族のまの字もないほどに平和ぼけしているが。


 魔族と人間が戦っているのはここから遥か北の大陸だからな……。

 いやまあ、魔族の中には飛んで来れるやつもいるので、海を渡ろうとすればいくらでもいけるのだが……そこまでしてこの大陸に襲撃する魔族はまずいない。

 この大陸をとったところで、魔族側からはうまみもほとんどないからだ。


 我が国も、物資などの支援こそしているが、どこか他人事の感覚は消えていない状況だ。

 このゲームでは、主人公が人間と魔族のどちら側につくかを選ぶことができる。

 多くのプレイヤーは人間を最初に選び、二週目で魔族を選択する。

 それは、主人公の血筋が勇者と魔王の間に生まれたハーフだと、人間側のストーリーをすることで知るからだ。


 ……そして三週目。

 二つのルートをクリアした状態で、最初に選ぶ選択肢をどちらも選ばずに30秒放置することで分岐する。

 そのルートでのみ、セイリンという女性が登場する。


 本来のストーリーでは、村に訪れたセイリンをスザクが救助するところから物語が進むのだが……たぶんだが、予定よりも早くこのイベントが進んでしまっている。

 セイリンは、主人公と同じく、勇者と魔王の間に生まれた双子の妹だ。

 つまりまあ、生き別れた兄妹だ。……一応、公式設定ではセイリンが妹なのだが、本人は自分が姉だと思っている。


 セイリンは、魔族の血が色濃く、魔族の国に魔王とともに残ったのだが、主人公は勇者の母とともにこの大陸へと渡ってきた。

 ……そういう関係であり、セイリンはスザクを探すのと魔族から逃げるためにこの大陸へと移動してくることになる。


 そして、このルートが……バッドエンドがたくさんあるんだよな。

 途中何度も魔族による襲撃を受けることになるのだが、スザクのレベル上げをするタイミングがほとんどなく、プレイヤーの腕前でどうにか撃退していくしかないのだ。


 スザクもセイリンも魔族と勇者の血を持っており、人間と魔族から恐れられることになるので、基本的にパーティーメンバーはこの二人で固定される。


 そうして物語終盤。どうにか逃げるように生活しえいた二人だが、最終的にスザクがセイリンを庇って大怪我を負ってしまう。


 セイリンはそれでスザクが死んだと思い、魔族の力を暴走させてしまい、人間と魔族を滅ぼす大魔王として覚醒してしまう。

 すでに殺戮マシーンになったセイリンを止めるため、スザクはセイリンを助けるために戦いに向かうのだが……ここで殺す以外の選択肢がないのだ。


 全プレイヤーがキレたシーンである。てっきり、何かキーイベントを逃したのかと思っていたが、何をやっても二人が救われるシーンはないのだ。


 そうして、セイリンを止めることに成功したスザクだったが、今度はスザクが人間と魔族から恐れられる存在になり、彼らによって攻撃されることになる。

 ……そこで、エンディングだ。スザクが人間と魔族を滅ぼした……のかは分からないが、荒地が最後に映っていたので、おそらく滅ぼしたのではないだろうか、というのがプレイヤーたちの意見だ。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

https://ncode.syosetu.com/n0326jo/

新連載です、よかったら読んでください!

エロゲー世界のただのモブに転生した俺に、ヒロインたちが押し寄せてきます 



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