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最初に比べると親しく接してくる人が増えているのだが、それがいいことなのかどうかは分からない。
しばらく街の人たちと交流してから、ギルドへ向かう。
「……レイス様。本当に人気ですね」
「人気、というのとは違うんじゃないか? たまたま、困っていた問題を片付けたお礼を言っているだけだ」
イナーシアとそんな話をしていると、ようやくギルドに着いた。
ギルドの受付へと向かい、俺はいつものように素材を換金していく。
待っていると、冒険者に声をかけられる。
「おお、レイス様! この前は悪逆の森で助けていただいてありがとうございました!」
「気にするな。それよりも、最近は無茶をしていないか?」
「はい。レイス様に教えていただいた薬も購入できたので、娘の体調もよくなりました……」
「それなら良かった」
ゲームであったサブイベントににた内容の問題が発生していたので、解決方法を伝えたらうまいこといったのだ。
冒険者たちとそんなやりとりをしていると、素材の売却も終了する。
用事を終えたところでイナーシアとともにギルドを離れる。
改めて、倉庫を目指して歩いていると、イナーシアが声をかけてきた。
「……そうですね。レイス様は、とても……立派です。……レイス様が、次の領主になってくれればいいのに、と……思ってしまいます」
「あまり、そういうことは口にしないほうがいい。どこで誰に聞かれているか分からないぞ」
「…………申し訳ありません」
「第一、俺はそんな立場にはないからな。……どうせ、そのうち、家からも離れることになるだろうからな」
ヴァリドー家が爵位を失い、両親はフィーリア様を見殺しにした罪で処刑。残った家族は皆散り散りになった。
レイスくんはというと、それから学園へと入学し、そこで主人公と出会うことになり……その才能に嫉妬して闇堕ちしていくわけだ。
そして最後は、自ら主人公に手を出し、あっさり敗北し、殺される、と。
俺も同じように学園に入って主人公に合流する予定だがもちろん敵対するつもりはない。
「……そ、そうなったとしても、あたしはあなたについていきたいです」
「え? 言っておくが、そうなったら今みたいな生活はできないぞ?」
「……それでも、構いませんから」
イナーシアが真剣な目でこちらをみてくる。
……イナーシアがパーティーに加わってくれるのは、心強くはある。
「その時は、よろしく頼むよ」
「もちろんよ……っ! もちろん、ですっ」
イナーシアの表情がぱっと明るくなって頷いた。
リームはゲームでは、学びのために学園に入学する。
ルーフは……どうなるか分からないが、それでも交流を続けることは可能だろう。
これだけ、戦力が揃えばゲーム本編が始まってからも難所を越えるのは難しくないだろう。
第五層。
そろそろ、ゲーム本編も始めるわけで、最終試験のようなつもりで挑戦してみることにした。
第四層に移動した俺は準備運動をしてから、第五層へと向かう。
以前、冥牙を回収するために入ったが、その時よりも強くなっているのだから自信を持って挑戦しよう。
いつものように魔物を探して歩いていく。この第五層には、恐竜種の魔物が出現する。ミスリルザウルス、メテオザウルス、ブラドザウルスの三種類が出現する。
どいつもそれぞれ厄介なので強さに優劣はない。
ただ、俺の戦い方と相性がいいのはブラドザウルスか。
ミスリルザウルスはとにかく耐久力が高く、メテオザウルスは魔法耐性が高い。
メテオザウルスは厄介なことにメテオという強力な魔法を放ってくる。
あれを連発されると、俺は空間魔法でしか処理することができない。
メテオザウルスにカウンターしたとしても向こうはメテオに対しては特に耐性が高いため、大したダメージは与えられない。
ジリ貧な戦いになると思われるので、ターゲットから外した。
とはいえ、ブラドザウルスは単純にHPの多い魔物だったので、まともにやり合ったら大変なのは確かだ。
それでも俺はブラドザウルスを探して第五層を歩いていく。
索敵しながら移動していくと……ようやく見つけた。
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