表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/89

4




 今日もいつも通り、朝から訓練をしようと思っていた俺だったが部屋にやってきた使用人にあることを言われる。


「れ、レイス様……っ。本日は、リーム様が来られますので、その外には出ない方がいいかと……」

「何?」

「ひぃ!? も、申し訳ありません! 勝手なことを言ってしまって……っ!」


 ……やばい。前世のクソ上司の相手をしていた新卒の子を思い出してしまう。

 こんな感じで怯えきっていて、俺が後で声をかけるなんてのは日常茶飯事だった。


「いや、そう……怯えないでくれ。今日はリームが来るんだったか……。教えてくれてありがとう」

「え? ……あっ、は、はい」


 ……リーム、かぁ。

 リームは……俺の許嫁だ。

 といっても、原作スタートしたときにはすでにその関係はなくなっている相手なんだが。


 使用人が部屋から去っていったのを見届けたあと、俺は部屋の椅子に腰掛けた。

 ……俺の部屋は兄たちに比べて狭いのだが、最近は筋トレグッズも置いているのでさらに狭い。

 まあここにあるのはサイズの違う石で作ってもらったダンベルがいくつかあるだけだが。


「リーム、かぁ……あんまり会いたくねぇなぁ」


 リームから俺に対しての好感度は、恐らくマイナスだ。

 というのも、会うたびレイスくんは横柄な態度とともにセクハラをしていたからだ。


 一応、結婚するまでは事に及ばないという決まりがこの国にはあるようなのでそういったことはしていなかったらしいが、それでもレイスくんは胸を触ったり、尻を触ったりとセクハラ行為を散々に行っていた。


 そのため、俺は大変嫌われていることだろう。


 レイスくんがそこまでリームに強気だったのは、うちが公爵家で、リームは子爵家だからだ。

 レイスくんの相手が立場の低い許嫁になったのは、家族からの嫌がらせなのだが……それでもリームは立場が弱く、それを利用してレイスくんはストレス発散がわりに好き勝手やっていたというわけだ。


 このゲームが男性向けに作られていることもあり、美少女が多く、リームもそれはもうめちゃくちゃ可愛い子なのだが、レイスくんは見た目ではなくてもっと権力の強い相手と結婚したかったらしいからな。


 リームとは月に一度程度会う予定なんだよな。

 せめてこれ以上嫌われないように振る舞うしかないだろう。


 ……あんまり嫌われすぎると、今後に影響出るかもしれないからな。

 リームは、主人公側のヒロインの一人でもある。将来的なことはどうなるかわからないが、主人公に嫌われて標的にされても困るからな。


 嫌われないよう、仲良くしないとな。

 しばらくすると、リームが到着したと報告があり、俺は玄関へと向かった。


 ……少し、緊張するな。一応、好きなゲームのキャラクターと出会うわけだしな。

 こんな緊張、転生してから初めて。


 兄たちも好きなゲームのキャラだって? いやいや、あいつは知らん。

 わずかな緊張は胸の奥に抑えつけながら、俺は玄関が開くのを待つ。


 ……来た。

 メイドと共に入ってきたリームがすっと俺の前に立つと丁寧に頭を下げてくる。


「本日は、わざわざお時間作って頂き、ありがとうございます」


 子爵家とはいえ、さすがご令嬢といった落ち着きと美しさだ。

 人形のように可愛い、って言葉はこういう子に使うんだろうね。

 ゲームキャラに出会えた感動はあったが……まあ、そのくらいだ。


 ……というのも、笑顔の仮面でもつけているんじゃないかっていうくらい、俺に対して同じ表情を向け続けているからだ。


 あんなの、俺が嫌な営業先に行く時くらいの徹底ぶり。

 ……その原因が自分であると思うと、なんだかとても申し訳なくなってしまった。


「レイス様、お久しぶりです」


 ……俺に対しては、一段笑顔を強めた気さえもする。

 まあ、どんな感情もとりあえず笑顔で誤魔化せるからな。

 俺はとりあえず、頭を下げながら挨拶を返す。

【妹の迷宮配信を手伝っていた俺が、うっかりSランクモンスター相手に無双した結果がこちらです】こちらの作品書籍化します! 良かったら読んでください! ↓のリンクから飛べるようになってます!

気にいった方は書籍の予約をしていただければ嬉しいです!



ここまで読んでいただきありがとうございます!

「面白そう」「続きが気になる」と感じましたら、『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけますと嬉しいです!

皆様の応援が作者のモチベーションとなりますので、是非協力よろしくお願いいたします!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ