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「レイス。オレは許可を出していないが」
「三人に同年代の友達ができるかもしれないぞ?」
「いくらでも乗せてやろう」
……こっちはこっちで、三人を人質にしたらあっさりと承諾してくれたな。
そんなこんなで、どっちも上手くやってくれそうだ。
ルーフたちとともに屋敷へ戻ってくると、三人の子たちがルーフを出迎えるように待っていた。
三人の名前は、イナーシア、アリアナ、ミーシーの三人だ。
ルーフはすでに元のサイズに戻っていて、三人に体を撫でられている。
……この後、スキルの入れ替えをお願いしたかったが、まあ今はいいか。
そんなことを考えていると、イナーシアがこちらへやってきた。
他二人は純粋な性格なのだが、イナーシアは彼女らより年齢が上ということもあってか一番勝ち気な性格をしている。
最初の頃は俺に警戒している様子だが、最近ではこうして話しかけてくることも多い。
そんなイナーシアの表情が、今回ばかりはいつもと違った。
「……あの、レイス様」
「どうした?」
「私、使用人だけではなく戦闘訓練もしたいと話していましたが……その件はどうなりましたか?」
「ああ、そうだったな」
今、三人は自主的に使用人の仕事を手伝ってくれている。
なので、今の彼女ら三人は使用人見習いとして雇っている。
だが、イナーシアはどうやらそれだけでは収まりたくないようなのだ。
まあ、俺としては……彼女が自主的にそう申し出てくれるのなら嬉しい限りだ。
イナーシア以外の二人は、戦闘能力はあまりないのだが、イナーシアはゲーム本編でも主要キャラクターたちに並ぶレベルで成長できるからな。
無理強いするつもりはないのだが、本人が望むなら仕方ないな!
「家庭教師には話しておいた。うちで継続的に雇っている人だから、いくらでも師事を仰いでくれ」
あの人に支払っている給料は固定なので、どれだけこき使っても問題ない。
……まあ、あまりにも忙しくなるようなら俺の稼ぎから少し給料を増やしてあげるくらいはするが。
「分かったわ! ……じゃなくて、分かりました、ありがとうございます」
「いや、気にしなくていい。あと、訓練のときはこのアクセサリーを身につけておいてくれ」
「……これは?」
「俺が強くなる時に身につけていたものだ。普通に訓練するよりも強くなれるから……まあ、お守り程度に持っていてくれ」
「分かりました。ありがとうございます」
俺はステータスを強化するためのアクセサリーを渡しておいた。
イナーシアは大事にそれらを握りしめている。
兵士たちの底上げにも活躍しているので、効果は十分なはずだ。
……うまくいけば、ゲーム本編のイナーシアよりも強化できるわけで、それはそれで楽しみだ。
さらに兵士たちを強化するためにも、また何セットか用意しておかないといけないな。
三人が使用人の仕事へと戻っていったところで、俺はルーフを呼ぶ。
「ルーフ。スキルの付け替えをお願いしてもいいか?」
「ああ、分かった」
すたすたとこちらへやってきてお座りをしたルーフに、俺は短剣を二本見せる。
冥牙とミスリルナイフ。合計スキルを四つつけてもらうつもりだ。
「目的のスキルはあるのか?」
「筋力、敏捷、魔力の強化ができればいいんだが」
「攻撃系スキルとかは不要か?」
「ついていたんだったか。何があったんだっけ?」
武器についているスキルはパッシブだけではなくアクティブスキルもある。
アクティブスキルは魔力を消費するため、パッシブスキルよりも効果が高いことが多いので場合によってはそれをつけるのもありなのだが……。
空間魔法を展開し、持ってきた剣をすべて取り出して確認してもらう。
ルーフがすぐに分別していってくれる。
……ふむ。スキルは、【筋力+10%】、【魔力+15%】、【敏捷+10%】、【筋力+10%】が限界か。
アクティブスキルは、三つあるが……どれもあまり強くはない。
これなら、パッシブスキルを武器に付与してもらった方がいい。
俺には、すでに唯一無二の攻撃魔法があるわけだからな。
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