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ゲームの悪役キャラに転生した俺が、裏でこっそり英雄ムーブで楽しんでたら、俺のことが大嫌いな許嫁にバレてしまった  作者: 木嶋隆太


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 スパイダーソードは天井に張り付く力を維持できず、落下してくる。

 衝撃が地面を揺らしたが、俺は即座に地面を蹴って短剣を構える。


 かなり弱ったスパイダーソードが体を起こそうとするが、それより先に俺は短剣を振り抜いた。


「ぎ、ィ……」


 スパイダーソードの首を切り落とすと、その体が霧のように消滅し、あとには素材だけが残った。

 空間魔法でドロップアイテムを回収する。

 スパイダーソードの素材とともに入手したのは、一つの鉱石。


 このクエストで手に入るミスリル鉱石だ。これを探し求めている鍛冶師がいるため、この依頼を達成したことが知れ渡ればいずれ向こうから接触してくるだろう。

 ミスリル鉱石自体は終盤に入ればいくらでも手に入るのだが、現段階ではまだ入手不可能だ。

 第一、ミスリル鉱石を採掘するにはそれ専用の魔法を持っている人間を用意する必要があり、その魔法の練度も高くなければいけないからな。


「そんじゃま、戻るとするか」


 空間魔法を発動し、俺は街の転移石まで移動した。


 あまり人前で転移魔法を使いたくはないが、転移石の移動したときと俺の空間魔法による移動は見た目が同じなので、場所を選べば問題ない。

 

 ギルドに直接行きたいところだが、それはさすがに目立ってしまうからな。

 俺は依頼達成の報告をするため、スパイダーソードの素材を持ってギルドへ向かった。




 ギルドに依頼達成を報告してから、しばらくが経過した。

 それまでの間、第二層で戦闘能力向上に努めていた俺だったが、鍛錬から戻ってくると兵士に呼び止められた。


「レイス様。今よろしいでしょうか?」

「ああ、大丈夫だ」

「例の……鍛冶師を名乗る、ヴィリアスというエルフの女性がやってきて、現在面会室にて待っていただいているのですが」

「ありがとう。今から会ってくる」

「承知しました。ご案内いたします」


 兵士に頷き、俺は彼とともに面会室へと向かう。

 ……エルフの女性、ヴィリアス。彼女はエルフにしては珍しい鍛冶師だ。

 俺の狙っていた鍛冶師でもある。


 面会室へと入ると、綺麗な佇まいのヴィリアスの視線がこちらに向いた。

 ソファから立ち上がった彼女は、すっと頭を下げる。

 少し緊張した様子だな。ヴァリドー家の悪い噂は色々と聞いているだろうし、仕方ないか。


「ヴィリアス、だったか? 何か用事か?」

「……はい。あなたは、この前……ギルドで廃坑の依頼を受けませんでしたか?」


 ヴィリアスの丁寧な口調は珍しいな。

 ゲームでの彼女のセリフを再現するなら、「あなた、この前廃坑の依頼受けなかった?」みたいに、少し言葉足らずの口調だからだ。


 さすがに貴族相手には丁寧語で話せるんだな。

 ゲームでは見られなかった意外な一面を見られてゲームのファンとしては嬉しいが、いまは喜んでいる場合ではない。


「ああ。例の廃坑だな」

「……その際に、珍しい鉱石を見つけませんでしたか?」

「これのことか?」


 俺はポケットに手を入れてから、空間魔法で目的の鉱石を取り出す。

 それを見て、ヴィリアスの表情が明るくなる。


「うん、それ……! じゃなくて、それ、です。……その鉱石を売ってもらうことはできますか?」


 へえ、売ってもらう、か。

 ゲームでは主人公に対して譲ってくれないか、と言っていたな。


 立場による差なんだろう。 

 ゲームのイベントなのでそれまでなのだが、だとしても聞いておいた方がいいだろう。                          


「なんのために使うんだ?」


 俺がその質問をすると、ヴィリアスはしばらく迷った後で、答えた。


「その……鍛冶です。その鉱石を使って武器を作る必要があるんです」  


 返答はゲーム通りだな。

 ヴィリアスはそれほどゲームで関わるキャラクターではない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 元になったのがゲームでも現実になった世界ではモンスター倒してもドロップしないんだなと思ってたらドロップするんかい金策できるやんけ笑 クズアイテムしかなくてもそれ売って兵士たちの装備買えばよく…
[気になる点] ヴィリアス? ヴァリアス?? 「なんのために使うんだ?」の後から2回『ヴァリアス』になっています。
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