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ゲームの悪役キャラに転生した俺が、裏でこっそり英雄ムーブで楽しんでたら、俺のことが大嫌いな許嫁にバレてしまった  作者: 木嶋隆太


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 尖った耳と豚のような鼻をひくひくと動かし、周囲の警戒を行っている。

 動物の皮を剥いで作ったような腰巻きのみを身につけた大胆な格好のハイオークを見ながら、俺は呼吸を整える。


 ……さて、どこまで通用するか。

 装備品も整えたし、大丈夫だとは思うが……緊張するな。


 空間魔法は、この戦闘では使う予定はない。

 逃走用のためになるべく残しておきたいからな。

 魔力自体は時間が経てば自然に回復するし、先ほどの宝物庫で入手した魔力回復用ポーションもあるのでいざとなれば何とかなるが、こんな通常の戦闘で使う予定はない。


 俺はこれまでに使用していた短剣と、先ほど入手したグラディウスの両方を握りしめ、一気にハイオークへと迫る。


「ガッ!?」


 俺の攻撃が届くほどの距離まで接近したところで、ハイオークが気づいた。

 ……ここまで気づかれなかったのは、先ほど入手した装備品のおかげだろう。

 まずは、俺の先制攻撃だ。


 ハイオークは驚きの表情を浮かべながらも、持っていた棍棒を振り抜いてきた。

 正面からやり合うつもりはない。ハイオークの攻撃をかわしながら、その脇腹を切り裂く。

 ……やっぱ、グラディウスの切れ味は凄まじいな。

 俺は速度を生かした身のこなしでハイオークの攻撃をかわしつつ、連続の斬撃を仕掛ける。


「ぐ……オォォォっ!」


 ハイオークは雄叫びをあげ、怒りに任せて棍棒を振り回してくる。

 あまりにも適当に振り回してくるものだから、近づくと巻き込まれそうだ。

 接近する素振りを見せながら、ハイオークの呼吸が乱れるのをまつ。

 そして、その瞬間がきたところで一気に飛び込む。


 ただ、ハイオークもその機会を待っていたようだ。残っていた体力で棍棒を振り抜いてくるが、俺はそれを引き付けてかわす。

 そして、跳躍するようにして両手に持った短剣をハイオークの首へと振り抜いた。


 俺は深呼吸をしながら、ハイオークの崩れ落ちる体を眺めていた。

 静寂が場を支配する。……とはいえ、勝利の余韻に浸っている場合ではない。


 ハイオークの雄叫びに反応して、こちらに魔物が近づいてきている。

 とりあえず、その場から第一層へと移動してから、改めて呼吸を整えた。


 ……勝てはしたけど、装備品のおかげだな。

 手に入れたグラディウスがなかったらまず切れ味が足りていなかった。

 今後は訓練用の短剣は防御に使うようにして、グラディウスで攻撃したほうがいいな。


 それに、戦闘自体はまだギリギリだ。

 ゲームでは四人パーティーで戦うような魔物を一人で倒せたのだからいいではないか、と自分を褒める心の声もあるが……それではダメだ。


 俺の破滅の未来を防ぐには、最強になっておく必要があるんだしな。


「……まだまだレベル上げないとなぁ」


 レベル、というものがあるかは分からないが、魔物と戦うたび自分が強くなって行っているのはわかる。

 ひとまずは第二層で通用する程度まで強くならないとな。

 そこまでいけば、今後の裏技だって使えるかもしれないしな。



 レベル上げでもっとも効率がいいのは――特殊モンスターの討伐だ。


 本来ならいない場所に生息している魔物は特殊モンスターと呼ばれ、ギルドなどに依頼として登録されることになる。

 例えば、この前フィーリア様が襲われたときもそうだ。


 ああいう、普段はいない場所に出る魔物はゲームでは通常よりも多くの経験値を入手できていたので、恐らくこの現実でもそうだろう……と思う。


 そういった特殊モンスターの対応には、国もギルドも困っている。

 だからこそ、俺はそれらを率先して狩ろうとは思っているのだが……レイスのままその活動をするつもりはない。


 レイスの評価があまりにも高くなると、家族からの嫉妬もより深くなり、下手をすれば家を追放される可能性もあるからな。


 何より、別の人間として活動することによって、将来の俺の稼ぎを増やせるかもしれない。


 特殊モンスターを狩ってくれる謎の冒険者がいる、となればいずれは直接依頼も来るだろう。

 実力者が欲しい貴族などが直接スカウトしてくれるかもしれないので、将来食い扶持に困った時の保険になる。


 なので、俺は……正体を隠して活動することにした。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 町が襲われると分かっているのに兵士や領民には情の一つも沸いてないんだなw 死んでも自分さえ生きてりゃってことなら元のクズとあんま変わらんな 事あるごとに今のトレーニング環境を維持した…
[良い点] 面白いです!応援しています!
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