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さまざまな街について調べていったところ、ゲーム知識で今すぐ、お手軽に装備を整える方法が見つかったので、早速やっていくつもりだ。
今回使うゲーム知識は、パスワードについてだ。
ゲームを進めていくと手に入るパスワードを、俺が記憶しているものを入力して突破して、中にある宝箱を入手しようという作戦だ。
元はゲーム世界。仮に現実になったとしても、利用できる部分はあるはずだ。
そして今の俺はレイスくんだ。その立場を利用すればゲームよりも自由に、色々な場所へいくことができる。
俺が訪れたのは、とある村。
ヴァリドー領内にある村だが、ヴァリドールからは遠い。
とはいえ、俺も一度訪れたことがあるため、転移石を利用すればすぐだ。
自分が訪れたことのある転移石の場所に、魔力を消費すれば移動できるという優れものだ。
これがあるからこそ、俺の空間魔法が微妙な扱いをされているんだよな。
あくまで一度訪れた場所であり、転移魔石がある場所にしか移動できないが、主要な村や都市にはだいたい存在するので、非常に便利だ。
さて、ここからだ。
俺は護衛の兵士とともに、村長の家へと向かう。
「レイス様……わざわざこんな村に来ていただいてありがとうございます」
「父の仕事の依頼でな……この村の地下倉庫に開かずの扉があると聞いているが」
「……ええ。ここ最近発見されたのですが、何やら怪しい場所があるのです」
「そこの調査をするように言われてな。様子を見てきてもいいか?」
「はい。どうぞ、こちらが地下倉庫に繋がる鍵になります」
俺は村長から地下倉庫の鍵を受け取った!
とまあ、ゲームならそんなテロップが出ているだろう。
俺は兵士を連れ、村の地下へと向かう。
今回の仕事に関しては、兵士たちに依頼されたものだが……その話を聞きつけて俺も行きたいと話し、同行することになった。
普段から兵士と仲良くしておいて良かったぜ。
鍵を開け、扉の前に立つ。その扉には、番号式の鍵がつけられている。
「なんか、最近こういった地下倉庫があちこちで見つかってるらしいですよ。過去の人が作ったものみたいですけど、開け方が分からないんですよね」
そう語る兵士に、俺は軽く相槌を打っていた。
扉はファンタジーな作りではあるが、鍵の見た目は自転車の番号式の鍵に近い。
ここには八桁の番号を入力する必要があるのだが、まだ開けられている様子はない。
国が人海戦術を使えば開けられないことはないだろうけど、そこまでする価値を国は見出していないだろう。
このゲームには、こういった隠し宝物庫があちこちにあるのだが、この村の宝物庫以外はそこまで有用なアイテムはない。
というのも、この宝物庫で手に入るアイテムは、なぜか行ける段階から数段上の装備品が入っているからだ。
つまり、今の俺にも最高の武器となる。
RTAなどを行う人たちは、必ずここを利用するチャートを組んでいる人がほとんどだ。
とはいえ、行けるようになった段階でこの村にくる場合、周囲の魔物がまだ適正レベルではないため、セーブ&ロードを覚悟しないといけないのだが。
ゲーム知識と今の立場があるからこその裏技だな。
とりあえず、あとで何か言われても嫌なのでここの調査は俺一人で行いたい。
護衛兼見張りとしてついてきていた兵士二名に俺は声をかける。
「俺はしばらくここを調査してみるから、二人は誰も入ってこないよう入口についていてくれ」
「分かりました」
兵士たちは特に疑うことなく、俺の言葉に従ってくれる。
まあ、開かずの扉と言われているのだから何も起きるとは思っていないだろう。
俺は早速、番号を入力する。92103142……だったな。
開いてくれ……っ、と願っていると、カチャンという音が響いた。
よしっ。ゲームの知識通りだな。
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