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ゲームの悪役キャラに転生した俺が、裏でこっそり英雄ムーブで楽しんでたら、俺のことが大嫌いな許嫁にバレてしまった  作者: 木嶋隆太


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 無事なもう一体はこちらに気づき、飛びかかってくる。


「ギッ!」

「……」


 まっすぐこちらへ飛びかかってきたゴブリンと俺との間に、空間魔法を発動させる。

 突っ込んできたゴブリンの居場所を、腕を割いて動けないゴブリンの方へと転移させる。


「アガッ!?」

「ギィ……」


 ゴブリンの攻撃は、見事にゴブリンに命中。

 それで、一体を仕留めた。

 完全に困惑している様子のゴブリンだったが、すぐに激昂してこちらに襲いかかってくる。

 だが、もう手遅れである。

 俺に迫ってくるゴブリンを空間魔法で飲み込み、上半身と下半身を分けるように切断した。


「グェ!」

 苦しそうな声をあげたゴブリンは、そのまま倒れて、動かなくなる。

 これで、二体の撃破を完了したわけだが……俺の魔力はまだまだ大丈夫だ。


「……さすがですねレイス様」

「いや、ゲーリングの指導のおかげもある。ありがとな」


 俺に短剣と魔力の使い方の基本を教えてくれたのは彼だ。

 とはいえ、まだまだ魔力の無駄遣いをしてしまっている部分はある。

 空間魔法。こいつは問答無用で敵を切り裂くことのできる強力な魔法だが、魔力消費もえぐい。

 ……さっきのようにゴブリン相手に乱発していては、すぐに魔力切れを起こしてしまうのも事実だ。


 より消費量を抑えるために、敵の急所を狙って攻撃できるようにしないとな。





 月に一度のリームとの面談。これが婚約者同士として頻度が多いのかどうかは分からない。

 また今日がその日であり、たまたま屋敷に居合わせていた兄から小馬鹿にしたように笑われる。


 家族がどうしてこんな縁談を組んだかといえば、すべてはレイスくんの自尊心を傷つけるため。

 そして、リーム側が受け入れたのは、公爵家と関係を結ぶため。


 ……ヴァリドー家と縁を結ぶなら、もっといい家はたくさんあると思うが、まあ一応公爵だしな。

 いつものようにドレスに身を包んだリームが屋敷にやってきて、俺の部屋へとくる。


 転生してから今日で何回目の面会だろうか? 五回くらいは会っている気がするな。

 いつも他愛ない話をしていたのだが、リームはちらと俺の方を見てきた。


「最近、よく体を鍛えているそうですね」

「ああ、まあな」


 最近では、色々とリームから声をかけてくるようにはなったが、初めのうちはこちらから話しかけなければ基本向こうは黙っていた。

 それほど俺と話したくはなかったんだろう。

 今は色々と話しかけてくれるので、前よりは友好関係を築けていると思う。


「なんだかその……以前と違って凛々しくなりましたね」

「……まあ、鍛えているからその影響だろうな」


 体つきは変わった。今では激しい運動をしても大して息を切らさない程度に体力もついている。

 リームは微笑のまま、僅かに首を傾げる。


「はい。最近はどうしてそれほど熱心に鍛えているのでしょうか?」


 ……んー、どう答えようか。

 俺が転生者で破滅の未来を回避するため! とかそんなこと言っても変に思われるだろう。

 それっぽい理由でもつけておこうか。


「リームは俺の家での立場は知っているか?」

「え? えーと……その、いえ……あまり詳しくは……」


 リームは困った様子で言葉を詰まらせる。

 ……ああ、そうだよな。俺のほうが立場は上なのだから、正直に話すのは躊躇われるよな。

 咄嗟にリームは誤魔化していたが、俺の立場を知らなければおかしいような表情をしているものだから、つい笑いそうになる。


「ああ、悪い。答えづらい質問だったな。リームも知っての通り、俺の家での立場はよくないからな。この家に置いてもらうためには、兵士の一人として努力するしかない、と思ってな」


 まあ、その家が残っていたらの話ではあるが。


「……そういうことだったのですね」


 納得、といったふうに頷く彼女に俺は少し意地悪をしてやる。


「なんだ、否定してくれないのか?」

「……っ。あっ、いえ、その……」

「まあ、冗談だ。そういうわけで、俺は今鍛錬に励んでいるってわけだ」

「……意地悪をしないでください」


 リームは少し頬を膨らませて、怒っていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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