『結びつく運命⑱』
そして、物語が歩み始める
盤面が整っていくのである
「それにしても、リン。マリ様と無事に会えたのか」っと、ドルマンと呼ばれているご老人は切り出したのだった。
「ん、失礼。私はこのヒノモトのギルドのマスターをしている”ドルマン”という。宜しく頼む」
”マリ様、大きくなられましたな”っと、続けてマリに頭を下げていた。
そして、そのまま自分の方向に向かってくる。
「シエルか。私は君に大きな、いや、大きすぎる不幸をもたらしてしまった。本当にすまなかったと思っている」っと、先程の”マリ以上”に大きく頭を下げて来たのだった。
『いえ、大丈夫です。ガイウスさんに、そして、先日ブリッケンさんにも、その事情の予測は聞いたので、その上でこうやって、また巡り合い、そして、手を差し伸べてくれるなら、僕はもう何も言いません。願わくば、これからも良くして貰えたらと思います』っと、手を差しのべる。
「・・・!」驚いたように目を見開いたドルマンさんは、おずおずと、自分の手を握ってくるのだった。
「トーリとカーラもしっかりとした、いや、私をも、きっと生きていたら上回っていただろう。とても、優秀で、そして誠実な人物だった。シエル、君は彼らの子供なのだろう。それを私は今、感じたぞ」っと、ドルマンさんは言う。
「だろう!ドルマンよ!シエルくんは、とても良い子なのだよ!」っと、そして、嬉しそうにガイウスさんが近寄って来て、自分の頭を撫でるのだった。
「ん、すまないね。私はガイウスだ。軍のそうだな、仮初めみたいなものだが、元帥をやっておる。そして、そこのドルマンとは小さい頃からの”腐れ縁”とでも言っておこうか」っと、ガイウスさんは自己紹介をする。
「いや、元帥。仮初めだなんて、あなたが居なければ、ここまで軍の基盤は成り立たなかった。あ、すまない。私はムシュタルだ。そこの、シュンの父親であり、軍では大将をしている」っと、焦ったような感じで自己紹介をしていた。
「・・・」シュンは、父親の珍しい姿を見ているせいだろうか?少しだけ呆けたようになっていたが、「む、息子のシュンです」っと、挨拶していた。
「私は、ドルマ・・、お爺ちゃんの孫のリンです」
「私は、皇室の・・」っと、マリが言ったところで、ガイウスさん、ドルマンさん、ムシュタルさんが驚いた様子になったのが見えた。
「ん、ちょっと待つが良い。マリ様はどこまで、リンたちに話したのですか?」っと、ドルマン。
「すべて、全てお話しています」っと、その後、マリがそれに続いて答えていた。
「全てですか」っと、思案顔なガイウスさん。
「ん、そう言えばブリッケンさんとも言っていたな、シュンよ、ブリッケンさんに会われたのか?」っと、ムシュタルが息子のシュンに確認をする。
「は、はい」っと、緊張するようにシュンは父親のムシュタルさんの質問に答えていた。
「ふむ、先程のシエルの”やった事”も気になるな。それに、私らに話したい事があるのだろう?これは詳しく聞かないといけなさそうだな」っと、ドルマンが言い。
「ガイウスよ、お前は時間はあるのか?後は、ムシュタルよ、軍の方は大丈夫か?」っと、続けてドルマンが確認を取っていた。
「私のほうは大丈夫だ、何といっても仮初だからの」”ははは”っと、ガイウスさんは笑っていたが、”それはお前が昔から、そつなくこなせる切れ者だからじゃろうって”っと、ドルマンさんが突っ込んでいた。
「私の方も部下にそのまま、本部へ戻るように伝えてあるので、時間も大丈夫だ」っと、ムシュタルさん。
そして、本格的に話せると皆が確認出来たからか、空気も少しずつ、引き締められていき、話し合いが始まるのだった。
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