『結びつく運命⑰』
かの者は悟られないように常に阻害を張り巡らせている
それに気付くものは居ないはずだった
その時は、思いのほか、早くやって来たのだった。
「シエル、シュン、マリ、リン、4名はこの授業が終わったら会議室に向かうように」っと、授業を受け持っていた教師が、授業の終わる少し前のタイミングで伝えて来たのだった。
そして、授業が終わり、シュンたちと共に学園の会議室に向かうことにする。
ーーー
「ふむ、シエルくん。元気にしていたかな?」っと、会議室に入り、一番最初に声を掛けてくれたのはガイウスさんだった。
「ガイウス元帥よ、失礼。私は急用が入ったので、失礼させて頂きたく思う」
自分との入れ違えで、浅黒い男性、ハンネス大将だろうかは、そうガイウスさんに述べていた。
「ん?ハンネスよ、何か軍での急用なんかあったか?」っと、こちらの精悍そうな男性はムシュタル大将だろう。
「いや、個人的な事での急用だ。では、失礼させて頂く」そういうや否や、ハンネスはこの室内から退出・・・
(「シエル様、感じますか?」)
(・・・そうなのか?)
(「きっと、彼です」)
(・・・ギリギリまでやってみよう)
(「はい」)
・・・
”ピシッ”っと、空間が裂けたようなな音が・・。
「ヘックション!」っと、空間の裂けたような音に被せてなのか、ギルドマスターだと思しきご老人がくしゃみをしたのだった。
「チッ、ドルマン殿。ギルドマスターだから、この場に居るようだが、本来は軍の管轄のイベント。その事をお忘れなきように」っと、くしゃみに反応してか、退出前にハンネスは、こちらを振り返り、言葉を発した後に出て行ったのだった。
ーーー
「まったく、焦ったぞい」っと、ハンネスが出て行って、少し経って気配が完全に無くなった後に、ドルマンと呼ばれていた、ご老人が言葉を切り出した。
「お爺ちゃんが、くしゃみだなんて”珍しいね!”」っと、リンが言うと。
「違うわい!そこの、シエルが何かを”仕掛けて”おった。空間が耐え切れなくなっており、軋みが生じて音が鳴るのに合わせて、誤魔化すのにしたんだわい」っと、ご老人は弁解していた。
「そうなの?」っと、リンが聞いてきたので、”そうだよ”っと、言葉返すと。
「私には分からなかったぞ・・」っと、ムシュタル大将と、同じ反応でガイウスさんも「そうだったのか」っと、呟いていた。
「えっと、ごめんなさい。その前に自己紹介とかは・・?」っと、少しだけ起きた沈黙を破るようにマリが、そう提案するのだった。
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