『結びつく運命⑬』
運命は結びつく
希望も、願いも、可能性をすべて収束して
そして、1つの紋として、そこにある
「ふむ、木剣か」っと、ブリッケンさんが呟く。
シリウスの名付けの後に、シュンが機転を利かして、話を戻してのブリッケンさんの呟きだった。
「ナビさんの分も、そうなると必要になるんじゃな?」っと、ブリッケンさんが聞いてくるので。
『すみません、そうなります。お願い出来ますか?』っと、問いかけると。
「ふん!この国を見て、シエル坊、ナビさんのとなると、俺しか作れるやつがいないだろうな!」”ハハハ!”っと、ひとしきり笑った後、ブリッケンさんは急に真面目な顔つきになる。
「ただ、シエル坊。すまねぇが、もう一度だけ、参考というか確認で魔法紋を見せてくれねぇか?」
『あ、はい。えっと・・どうぞ』
「おう、ありがとな!」っと、言葉を言いつつ、こちらに歩み寄りながら、もう一度ブリッケンさんは自分の魔法紋を確かめる。
「うーむ・・」っと、ブリッケンさん。
『どうしたんですか?』っと、聞くと「俺はてっきり、”2重”だと思っていたんだが・・」っと、ひとしきり答えた後に、もう再度、確認作業に入る。
「んー?でも、シエルくんの魔法紋って、なんというか”深い”感じがするよね」っと、リン。
「確かに、私たちのとは違い”薄っすら”とではなくて、”濃い”感じがします」っと、マリ。
「なんか”何層”にも重なってるように見えるよな」っと、マリの言葉に続きシュンが発言したら、ここに来て何度目かの時間が止まったように、静かになる。
「おい、シュンの坊主、今”何と言った?”」っと、ブリッケン。
「え、いや。”何層”にもって・・」っと、聞くや否やブリッケンさんがもっと、深く深くみようと、自分の魔法紋に近づいて見てくる。
「おいおい、本当かよ・・」っと、ブリッケンさん。
「シエル坊!なんでも良いから”もう少しだけ”魔力を使ってくれないか?」っとブリッケンさんが言ってきたので、とりあえず、何の気なしにナビの周囲を明るくしてみる。
「ひゃ!?」っと、ナビが反応するのを横目に。
「・・・こんなことがあるのか、いや、現に俺はそれを観測している」っと、ブリッケンさんが呟く。
『えっと、何か分かったのですか?』
「わかったんだが、信じられん。俺はてっきり、データ化した際は、どうしても、そこまでは見えなかったのだろうが。今、この目で見て確信した。シエル坊、そしてナビさん。2人の魔法紋は”何層”にも発現している。その願いの総量に合わせて、これは多分、層の数も変わっておる」っと、ブリッケンが言うのだった。
「えっと、そんな事は可能なのでしょうか・・?」っと、マリ。
「我にも、そんなデータは残されておらぬな」っと、シリウス。
「いや、俺だって初めてだ。だが、シエル坊、ナビさんのは特殊なんだ。これは元のシエル坊の魔法紋は分からん。だが、もしかすると、沢山の生命と願い、そして周囲の可能性を全てが【結びついた運命】から生まれた、魔法紋かも知れないな」っと、ブリッケンさんは感慨深く言うのだった。
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