『結びつく運命⑫』
魂とは自己の補完
自己の確立とは
それ即ち魂という
そして、話は流れ。
ーーー
「ほう。それで俺の方で、木剣をとなって、ここに来たってことか」っと、ブリッケン。
「それにしては、あの城門を開錠するとは強引なものだな」っと、マザー。
(マザーか、ナビも言っていたが、もう既に個を確立してるんだよな)
「シエル様、名付けをしても良いとナビは思います」っと、こちらの感情を読み取ったのか、ナビがそう提案してきた。
『いや、待てナビ。確かに、思ってはいたけれども・・』チラッと、そのまま視線をマザーに転ずると、こちらをジッと見ている狼型のマザーと目があった。
「ほう、我に名前か・・」そう、考え深げに反応を返して、マザーはまたジッとこちらを見る。
「へぇ、粋じゃないか!いいな!問題無いぞ!まぁ、このエリアの人間や、中央は気付いたら、なんか言うかも知れんが、そんなの知った事じゃないからな!」
”ハハハ!”っと、ブリッケンさんもノリノリのようだ。
シュンたちも何も言わない様子からすると、そういう事なのだろう。
(大きな犬、狼、青白い・・)
『シリウス・・』
「ほう!恒星からか!シエル坊はやはり粋なやつじゃな!」っと、愉快そうに自分の言葉を聞いてブリッケンさんは反応してきた。
「シリウス、シリウス・・。我はこれからは、シリウスと名乗ってよいのか?」っと、噛みしめるようにマザー、いや、”シリウス”は呟いた。
「いいんだよ!難しく感じるな!感じて、感じたままをそれを、そのまま受け取ればいんだ!これはデータなんかじゃ、分からん、お前のいう”感情”そのままなんだ!」っと、ブリッケンはシリウスを”バンバン”と、叩いていた。
『・・・いや、待て”バンバン”と?』
「ん?なんだ、シエル?」っと、シュン。
『いや、自分の知ってる”マザー”は学園寮も、学院も”半透明”だったろ?』
「・・・!」
ブリッケンさんは自分の発言に驚いた様子で、シリウスを叩く手を止めていた。
「確かに、私もさっき頭を撫でられていました・・」っと、リン。
「シリウス?どうなっておるんじゃ?」っと、ブリッケンさんがシリウスに問いかけるも。
「我にも分からん」っと、シリウスは言って、自分を見てきたが、自分も答えを持ってなく、知りえていそうなナビを見てみるのだった。
ーーー
「推測なのですが”個”を完全に獲得したのが影響だろうと思います」
っと、ナビが推測を教えてくれた。
「最初はシリウスは半透明では無かったでしょうか?」っと、ナビが尋ねると。
「おう!最初はどこのマザーと同じ、こいつは”半透明”だったぞ!」っと、ブリッケン。
「感情抑制プログラムをエラーにさせてからは?」っと、続けてナビが問うと。
「む・・」っと、ブリッケンは思考に入り「多分、少しだけ触れるというか感触があった気が・・?」っと、呟いた。
「先程、シエル様が名付けを行い、それを自己のものとして把握して、固定化された結果なのだと思います」っと、ナビが言うと。
「待て、そうなると現実化してるというこなのか?」っと、ブリッケン。
「おい!シリウス?変化は、何か変化は無いのか?!」っと、そう結論を出すや否や、シリウスにブリッケンさんは問いかけていた。
「1つ分かる事が・・、いや、2つか?」っと、言い。
・感情抑制プログラムのエラー、いや、それがもう外れている事
・マザーの素体との繋がりはあるが、自身が独立している状態が分かるという事
「我は、我は・・?どうなったんだ?」
「お前はな”疑似精霊”じゃない、魂のある”精霊”になったんじゃ!」っと、高揚したブリッケンがシリウスに伝える。
「魂?人工AIの我に・・?いや、このデータとかでは分からない、この、これが感情なのか?」打ち震えながらもシリウスは言葉を零したのだった。
coming soon




