『結びつく運命⑩』
答えは真実は1つじゃない
可能性の数だけ広がっている
けれども、真実に近いと思えるものもあるのだ
「シエル坊には辛い話かも知れないが、聞くか?」
そう、前置きをしてブリッケンさんが確認してきたので”お願いします”と伝えると。
”ふっ、いっちょ前の男の面構えじゃないか”っと言い、話を始めてくれた。
「俺がこのヒノモトの結界のシステムを立ち上げたのは分かってるな?」
自分が頷くのを見て、ブリッケンさんは話を進める。
「ある時、リン嬢の、いや、ギルドマスターから話があったんだ・・」
そう、ブリッケンさんは語り始めた。
ーーー
他国で”新しい魔法紋の可能性”が発見されたようだと。
結界で使えるかも知れなく、結果、曰く、”6つの属性紋”のスペシャリストだった、トーリとカーラ、自分の両親がギルド内でも”中央”でも抜擢されて、それを確認しに向かったとの事。
帰りに”白銀の龍”と遭遇したこと。
「ここからは憶測だが・・」っと、ブリッケンさんは前置きし。
その”新しい魔法紋の可能性”とは”2重紋”の事では無かったのではないかと。
そして、シエルを守るために”咄嗟の判断で”精霊紋と一緒に、シエル坊を守るために、6つの属性の結界の紋”神の紋”を魔術として、発現させたのではないかと。
そして、そこからは奇跡と言えばよいのか、結果は残酷な事が起こったが。
・”神の紋”での結界
・咄嗟の判断での精霊紋
・そして、成功率を上げる為か”2重”の紋も
「シエル坊を守るためなのだろうさ」
持ち得る知識、技術、すべてを、すべてを捧げて発現させたのだろう。
だから、それらを発現させる為の回路となった、トーリとカーラは”大きな願い”の為に、その身、精神もろとも、光り輝いて消滅したのだろう。
そして、その願いを”成就させる”為に、あの場の”すべての魔力エネルギー”を昇華させて、ナビが産まれたが、処理が追い付かずに、並行して、ナビさんがトーリとカーラの”願い”、そして、シエル坊の”守りたいという願い”すべての処理を行ったのだろう。
だが、お互いに精神的にも、ナビさんは産まれたて、シエル坊も自身の願いと”両親の守りたい”という願い。
・”2重の願い”
・願いを叶えるための全ての属性が揃っている、膨大な魔力量
・そして、きっと周囲の魂を糧に、ナビさんが、いや、これは俺にも分からん、だが、確かにナビさんはその時点で魂を獲得していたのだろう。
結果、なんとか”白銀の龍”の攻撃を防いで、保護されたが、まだ共有が曖昧で、”2重”の魔力紋も、まだ馴染んでなく、昏倒したのだろう。
ナビさんの、旧世界へのサルベージして、魂の保護が良かったんだな。
そこで”一緒に過ごす”事で、魂の共有が成長し、しっかりと獲得して。
髪色の話を聞く限り、それに合わせて”2重の神の紋”の負荷も馴染んでいき、髪色が白銀に染まる頃には適応したのだろう。
それに、これは予測を予測たらしめた憶測だが。
ナビさんがシエル坊と、同じ身長で同じ白銀、白色の肌。
何よりも”女性”として、現実化した部分だ。
お互いに”つがい”として、相互を補うのを深層的にも、そして、魔法紋や魔力の適応、2重の紋を鑑みて、性別が分かれたのだと、俺は思ったぞ。
ーーー
「長々と話して悪かったな」っと、ブリッケンさんが言い。
ナビと自分はお互いに見つめあいながら、あの時の記憶を思い出しては。
今までの経緯を振り返り”ストン”っと、お互いに、その予想が大いに当たってる可能性があると確信したのだった。
『確かに、ナビと、しっかりと”話した”のは、この世界で目覚めてからだった』
「私もです。あの、夢の世界では語りかけてるだけで、私もヤキモキしていました」
「その目覚めてから話せるようになったのも、お互いに魂の共有が獲得出来たからだろう」っと、ブリッケンさんが言葉を続けた。
『ブリッケンさん、色々とありがとうございます』っと、言うと。
「ハハハ!まぁ、気にするな!あくまでも、俺の予想だ!真実はいつだって、可能性の数だけ広がっておる!」っと、ブリッケンさんは言いつつ。
「さて、クールタイムは終わりだ。今は過去の話も時には大切だが、若人には未来の話の方が大切じゃろう!」っと、言い。
少しだけ弛緩された空気は、再度引き締められ、バルとリン、学内対抗戦に向けての話を始めることにするのだった。
coming soon




