『されど邂逅せし運命⑭』
その薄い糸がどこまで続くかは誰も、まだ分からない
そして、気付いている者も限られる
この薄い糸は果たして、何処に繋がっているのだろうか?
「あ・・、感じます・・」
あの後、入浴後、部屋に戻り、寛いでいる中で隣に居たナビが不意に呟いた。
『ん?どうした・・?』
「シエル様にも共有致します」
そう、ナビが言うと。
ナビと同じく意識が空間に広がっていくのを感じる。
このままナビと重ね合わせるように意識を共有させる。
(・・・?何か見えるな?)
最初は意識を学生寮エリアまで伸ばして、そこから。
(・・・これはレイのものだな)
(・・・これは?バル・・?それにこれは・・?)
良く、意識を凝らして、見通してみると薄っすらと”黒い”糸みたいなのが見えてくる。
(「はい、これが先程、皆さまに申し上げていた。”呪い”に近い、はたまた洗脳にも近い、闇属性の”魔力の糸”になります」)
(「シエル様、もう少しだけ共有致します・・」)
そういうや否や、俯瞰している学生寮エリアの魔力の流れが、より鮮明に、繊細に見えてくる。
(なんだこれは・・?いくつもの”薄い糸”があるじゃないか・・)
そう、その薄い糸が、いくつも学生寮エリアに散らばっているのが見えるのだった。
(ナビ?これの”大元”は・・?)
(「見ての通り、”学生寮エリア外”まで伸びており、そこから先は追えない状況です」)
”けれども、この魔力の”特徴”は掴みました”っと、ナビは続けて言う。
(これだけの量を・・、それにきっと”学生寮エリアだけじゃない”よな・・』)
(「はい。ナビも、そう思います。これは”一端”にしか過ぎないかと・・」)
”ガイウス様にご相談は必須だと思います”っと、ナビの言葉に、ただ自分は頷くのだった。
(それにしても・・)
そのまま、視点をレイの方へ向ける。
(レイの”魂”は大丈夫だろうか・・?)
(「分かりません。魂の強さは人それぞれ。人の可能性に大いに依存するものだと思っています」)
(「ですが・・・」)
”私はシエル様の事を夢の中で一緒に居た時は、いつか回復してくれると信じてましたけれどもね”っと、言い”えへへ・・”っと、ちょっと照れたように微笑むようにするナビが居た。
その後、また真面目な顔に切り替えて”けれども、レイさんに関しては、どの道、猶予の話になるとしたら厳しいものになると思います”っと、言うナビが居たのだった。
(とりあえず、今日はもう寝ようか?)
(「そうですね。シエル様の”眠気”も薄っすらとはナビも感じるのです」)
”よいしょ”っと、ナビが言い。
自分の入り込んだ、お布団に入り込むのも、それはもう、やはり”いつも通り”の風景になりつつもあるのだった。
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