『されど邂逅せし運命⑤』
遂に始まる学園生活
物語は少しずつ動き始める
そして選択する未来も迫って来ている
「シエルくーん!準備出来たー?」
おや、シュンだけではなく、遂にリンの声も聞こえて来た。
「あの、私が先に行って、もう少しだとお伝えしてきます・・!」
張り切って、知れせに向かうナビが居た。
(行くのは良いけれども・・うーん)
『わかった。ありがとうナビ!・・その、頑張って来てくれ!』
「はい!不肖ながら、このナビ行ってきます!」
”キリッ”っとした表情を見せながら、ナビが自分の準備が後少しだと伝えにいったのだが・・。
「か、可愛いー!」
「可愛いですね!!」
「あっ!いや・・、ダメ・・、あぁ・・、そこは触ったら・・シ、シエル様ー!!」
リンとマリの声に続いて、どこか悲壮感の感じるナビの声が聞こえてきたのだった。
(あぁ・・”やっぱり”)
それはそうだろう、今のナビは”制服を着て”可愛さ増しなのだから、もう既にその時点で”餌”なのだ。
それはもう・・”あぁ、なってしまう”のも予想はしていたが・・。
『ごめん、ナビ・・!』
少しだけ、”黒い自分”を感じつつも、準備を進めるのだった。
シュンたちの所へ、合流した時は、ナビはちょっと”しおれて”・・、いや、”目を回して”いたのだった。
(離れてるせいかな?そこまで感覚の”共有”を感じなくてよかった)
(ん……?)
不意に視線を感じてナビを見てみる。
「・・・・”ジー”」
少し、目を回しながらも、こちらの思いが伝わってしまったのか、抗議の籠った目をこちらへと向けているナビが居たのだった。
ーーー
『おぉ・・、教室も広い・・』
40名は優に軽く収納しても余裕がある空間だった。
席は自由らしいので、そこはシュン達と固まって座る事にする。
「あの・・、気のせいではなければですが・・凄く、私見られている気がするのですが・・」
「き、気のせいですよね?カモフラージュ・・?は完璧ですよね!?」
少しだけソワソワとしているナビがそう言っていたが。
『残念ながら、凄い見られてると思う……』
「まぁ・・、可愛いからねー!」。
「それに実際に現実化を初めて確認出来た存在ですし」
リンとマリも自分に続けて同意を示してくる。
「にゃ!・・なるほど・・」
(ん?今”にゃ!”っと言わなかったか?それは”旧世界”の萌え殺しワードの1つだぞ!)
っというか・・、おぉ・・シュンがちょっと萌え殺されてる・・。
確かに、ここに来るまでに”結構な人数”に見られてたのは確かだった。
まぁ、仕方ないだろう。
どう見ても、カモフラージュではないだろう。
(どう見ても魅力アップアイテムですね、ごちそうさまです)
ーーー
「はっ!お前らは頭、お花畑か!おぃ!」
そんな時に後方から声を掛けられて振り返ると、目が”仄暗い”バルと、バルに着いて来ていながらも、どこか”フワフワ”しているレイ、及び”取り巻き”が数名居た。
「楽に学園生活を過ごせると思うなよ!それに今年は”特別”な年になる。精々、逃げ出さずに挑んでくるのなら良いが。ビビりのシュンは尻尾を巻いて逃げるのだろうな!」
”ハハハ!”っと、バルが笑うと、取り巻きもそれに合わせて笑っていた。
シュンを見てみると、”?マーク”を顔に貼り付けていた。
「はん!何も聞いていないのか?ムシュタル大将も遂に落ちたか?まぁ、いい。今日中に分かる事だ。楽しみにしてるがよいさ!」
「おぃ!行くぞ!」
バルの一声で、その場から取り巻きも含めて、教室内の反対側へと座りに離れて行った。
「一体なんのことだ?」
シュンが呟いたが、自分たちでその答えを知る者も居なく。
「とりあえず今日中に分かるんでしょ?なら、待とーよ!」
「私、待つのは得意だし」
リンがそう言ったところで始業のベルが鳴り、教師が教室に入って来たのだった。
そして、シエルの中学校の生活が始まっていく




