『real?①』
夢の”終わり”
そして
現実の”始まり”
最初の違和感は〝重力〝だった。
(あれ──動いているか?)
浮遊感を全く感じないのだ。
そう、エレベーター独特の何とも言えない、あの浮遊感を感じない。
『指定先ボタン、押し忘れたっけ……』
違和感を拭い去る為にボタンを見るが、そこには”指定先が光っている”ボタンがあるのみだった。
〝押している〝
(けれども──動いていない)
(故障か?)
(何十秒経った?)
(何かあったのか……?)
思考の渦に埋もれそうになった──その時に。
「ピンポーン!」
唐突に指定階に到達した案内音が、エレベーター内に響き渡った。
(いや、でも開かないぞ……?)
疑問に疑問を重ねたところで、階を示す電光掲示板に異変が生じ始めていた。
『ッ──!』
”また”頭の痛みを感じ、一瞬頭を支えるのに視界を下げてしまったが、頭痛が和らいで来たので視界を上げる。
そしたら異変を生じ始めていた電光掲示板に目を合わせてしまった。
【〝夢〝は楽しかったですか?】
階を指し示す箇所は空白になり、唯一、そして俺にも分かる形で、その一文が浮かび上がり「案内」をされていたのだった。
夢とはまやかし
夢とは幻
彼の夢とは現実?