『絡まる運命⑩』
初めて見る、彼女の笑顔は”ただただ”可愛かった
初めて触る、彼女の感触は”ただただ”柔らかかった
初めて聞く、彼女の声は”ただただ”綺麗で美しかった
『・・・・』
目を覚ますと、”以前”まで見慣れていた白い天井が見えた。
「ん・・・」
少し甘い声が聞こえてきて、隣を見ると、同じ白銀の髪の美少女・・、いや、ナビが居た。
(そっか・・、ここはヒューズさんの病室というか・・、研究施設内か)
起き上がろうとしたが、まだ熱があるのか、どこか思考もぼんやりとしており、頭が回っていないのを感じた。
とりあえず、手で触れられる距離に居る、ナビを見てみる。
(生きてる?普通に人の・・、女の子みたいだ)
”そっ”と手を伸ばして、その肌に触れてみると、感触は人間のと変わらず、体温は・・。
(人間のよう?いや・・”仄かに暖かい”感じだ)
手触りを感じて、そっと頭まで手を持っていき、その腰まで伸びている、ストレートの白銀の髪を梳いて感触を楽しんでいると、彼女の・・、ナビの睫毛がピクピクと動いていた。
「く・・、くすぐったい・・です、シエル様・・」
ちょっと恥ずかしそうな声を出しながら、ナビがその瞼を開いて、同じ”白銀”の瞳で、こちらを見返してくる。
『あ・・ごめん、起きてると、思わなくて・・』
「起きなかったら・・私、どうなっちゃってたんですか・・?」
ちょっと、不安げな期待も籠ったような声でナビが問いかけて来ていた。
(・・・ま、参ったな・・)
(「・・・困るのですか・・?」)
”ぁ・・”感覚も共有しているのか。
いや、離れたことで、その感覚が微かになったようだけれども。
朧げに、ナビの考えがこちらに流れ込んでいる気配がする。
『褒められ・・いや、”可愛い”と言ってもらいたいのか?』
「・・・!!い・・、一応・・、その、私も・・、女の子ですから・・」
(なんだ、これ・・”かわいい”ってやつか?!)
(それに感覚が微かだが”凄い嬉しい”そして”恥ずかしい”っという感覚が、流れ込んでくる感じだ)
『・・ん、でもさっきは”思念”でも会話出来ていたような?』
「意識すれば・・、出来るみたいですよ・・?」
(「テステス・・、聞こえ・・、ますか?」)
『あぁ・・本当だ!ナビ、流石だね』
「えへへ・・」
”あっ・・、これ可愛いだ”っと、ナビの笑顔を”初めて見て”すんなりと感想が心に落ちて来ていた。
「・・・・コホン」
『!?』
身体は起き上がれない状態なので、顔だけナビとは反対側・・室内の入り口側に向けると、多分、咳を”わざわざ”発したであろうガイウス大叔父さんと、どこか申し訳なさそうに佇んでいるヒューズさんが、そこに居たのだった。
やっと巡り合えた2人
そして、物語も少しずつ
色を出してくる
その色はどんな色かは、これから分かる事




