『絡まる運命⑦』
大きすぎる力とは
常に一般の尺度では測れないものなのだ
「では、この水晶に”思いっきり”力を注いでみてください」
測定場所まで辿り着いた自分に、測定しているであろう教師の1人が言って来た。
『”全力で”という事ですか?』
「はい、もうそれは”全力”でお願い致します!」
(全力か・・全力・・)
”よしっ”っと、回っていない頭と、既に立っているのがやっとになってきている自分は、”余りにも考えなし”に力を”全力”で注ぐことにした。
(「ぁ・・シエル様!!」)
っと、どこか遠い感じでナビの慌てたような声が聞こえたが。
そんな、ナビも感覚が共有しているからなのか、辛いのだろう、意識が遠くなっていくのが感じられた。
「な、なんだ・・?!」
”結果”は、すぐに目の前に表れ始めていた。
「シ、シエルくん!!注ぐのを・・!やめてくだ・・」
やはり、どこか遠くに感じる、教師陣の声を聞きながら、自分も止めようと思ったが。
朧げな意識の中、すぐに自分でもブレーキが利かなく結局”全て”を注いで・・・
”バンッ!”っと、そのタイミングで水晶が破裂していた。
結構な音が鳴り響いてしまったのか、遠くの別のところで、測定、召喚していた生徒や、教師も駆けつける始末になっていた。
「な、なにが・・、それにこんな”輝き”に”魔力紋”など・・、見たことも報告されたことも・・」
周りは周りで、尋常ではない”異常”な輝きに口が未だに開いている者が居たり、何名かは水晶が破裂した際の大きな音で腰を落としている者も居た。
『え、・・えっと・・』
「と、とりあえず!水晶に”欠陥”が合ったのかも知れない!」
”シ、シエルくん!とりあえず、こちらへ!”っと、先程まで測定場所に誘導してくれていた職員が”気を遣って”か、自分を次の召喚紋が描かれている場所まで案内してくれた。
ーーー
「シエルくん・・次は”全力じゃなくて”いい。”少しだけ”、本当に”少しだけ”力を注いでください・・」
どこか恐れを抱いてそうな顔の教師陣を横目に周囲を見ると、さっきの破裂音の影響もあってか、シュン・マリ・リンの3人も居るが、バル、レイ、及び、他の場所で測定、召喚していたであろう、生徒や教師陣も集まってきていた。
(そっか、俺が一番”最後”なんだっけか・・)
とりあえず、これが最後だと、自分も気合を入れて、何とか意識を保ちつつ、契約精霊の起動紋に力を注ぐ事にした。
きっと出会うまで、もう少し
しかし、コンディションは最悪だろう
それが、どのような化学反応を起こすかは
まだ、分からない




