『絡まる運命③』
結界は、生命線になっている
それぞれ作用が違い、重ね掛けは実現出来ていない
もし、可能となれば人類の生存圏は、さぞ広がることだろう
だが、人類は知らないのであろう
どのように結界が生み出されて、そして、現在も維持をされているのかは
人は享受されるのに慣れ、そして、知る事を自然と選択してしまう生き物なのだ
(やっぱり広いな・・)
学院エリアの、端の方のホームに電車タイプの魔力車から降りて、視界に入った街並みを見て思う。
ここ”キョートー学院”のエリアは幾つかあるエリアの中でも、有数の巨大なエリアとの事だった。
それはそうだろう”学び舎”という種類のすべてが、此処に集約されているのだから。
幼稚園から、小学校・・中学・高校・そして大学、すべてが揃っている。
その他、普通に一般の方の生活区域も内包されており、複合型な”学生の街”と言っても過言では無いのだろう。
(それにしても・・、他の学院は・・)
まだ、重い頭で記憶から情報を持ってくる。
ーーー
人類の生存圏は狭まった云っていた。
ナビによると、ヒノモトの国の単位で言えば”1/4”との事だ。
”旧世界”からの記憶と現状の分かる範囲の地図を重ねると、見事に生存圏は東京、神奈川、埼玉、千葉に集約されていた。
各県に1つ、学院に関してはエリアがある配置になっていた。
ーーー
国全体を覆う結界は”白銀の龍”等、大型系のモンスターの接近を防ぐ”ジャミング”的な効果だと、ナビは教えてくれていた。
補足するならば、商業区エリア、学生寮エリア、そして、ここ学院エリアでも目の前にある”薄い”エリアを覆う膜のようなものが”結界”であり、エリアに展開している分は大型ではなく、”中・小規模”系統のモンスターの接近、及び侵入を防いでいるらしい。
逆にいうと、エリア間の移動の際はモンスターと遭遇する可能性はあるし、事故だってあるとも云う。
だが、事故が起きる可能性も、遭遇する可能性も低いという。
それは、ギルドの方が間引いているからに過ぎない。
軍の方はエリア内の、治安の維持の方を、主にしているらしいが、ギルドも似てるような事はしており、そこも摩擦の原因になっているらしい。
(・・また、難儀なものだな)
”ふぅ・・”と、息を吐きつつ、とりあえずは重い体を動かす事にする。
魔力車にて先に降りていた、シュン、マリ、リンは心配げに自分を見ていたが、自分は余り心配を掛けすぎないように、出来るだけ気丈に振る舞いながら後を追うことにするのだった。
シエルの風邪の具合は相当に悪いのだろう
何も起こらなければよいが
けれども、きっと何も起こらないという事はないのだろう
そして、ヒノモト、及び、エリアを覆う結界はどうやって組み上げられたのかは
やはり情報も、そこまで公開されてもいないのだった




