『絡まる運命②』
いつだって最高の運命が待っている訳ではない
基本的にはほろ苦い運命からのスタートなのだ
『ぅ・・っ、辛い・・』
ナビさんの具合も・・、あれか、共有の影響だろうか、辛そうな雰囲気が伝わってくる。
「シエル?!だ、大丈夫か・・?」
”アツっ!”っと言いながら、シュンが手のひらを、自分のおでこにくっ付けていた。
(・・・わかる)
この感覚は、この世界に目覚めてからは初めてだけれども、夢の世界では体験済みだった。
「シエル・・、これ風邪だわ。それに結構、重いと思うぞ?」
”薬どこだったかな・・”っと、シュンが離れていく姿を見ながら、思いに耽る。
(・・そう、限界まで追いつめて、そして入浴施設まで行って、お風呂に浸かったのまでは良かった)
そこから、本当に体力が無くなってしまって、結果として結構な”湯冷め”をしてしまって、気付いた時には悪寒を感じてはいたが・・。
『すまない、シュン・・』
そう言いながら、シュンが持って来てくれた薬を飲んで、着替える為に立ち上がる
(・・・・)
ん、これはダメだ。
思考がどこか朧げだ。
なんとか、シュンのサポートもあって制服に着替えて、支度を整えるが・・。
(あぁ・・、制服・・、なんか懐かしいな)
ちょっとお洒落な感じだな。
”フワッ”とした思考の中、シュンと共に部屋を出るのだった。
ーーー
「・・・大丈夫?」
部屋を出て、寮の門の所まで来たら、マリとリンが待っていてくれてたようだった。
そんな中で、リンが俺を見て最初に言ったセリフが、上のセリフだった。
『いや、大丈夫と言いたいけれど。ちょっと、しんどいかも』
取り繕うことなく、現状の感じている感覚を口にして答える。
”はぁ・・”っと、このため息は、マリだろうか。
”仕方ない人だなぁ・・”っという目を、マリを見たらこちらへ向けていた。
ーーー
『それにしても・・、2人も制服が似合ってますね』
ん、シュンもなかなか似合ってるが、2人もやっぱり、元の素体が良いのもあるのだろう。
制服が似合っていた。
”あ、ありがとう・・”
ちょっと、マリ・リン共に照れてる?ような雰囲気を横目に、やっぱりしんどいもので。
今日が入学式だというのに、これからの事に少しだけ不安を覚えるのだった。
(それにしても・・、風邪に効く魔法は無いのだろうか・・)
身体への対応も細胞の活性化とかになってしまうから、直接ウイルスを狙わないと、逆に感染している細胞が活性化されて危険な状態になるとは、確かに分かるけれども・・。
”はぁ・・”っと、ため息を1つ吐きつつ、重い頭と体を何とか動かして、学院エリアへと向かうのだった。
現代の医療は旧世界の常識と魔法が組み合わさっている。
ウィルスには未だに薬での対応が推奨されており、自己治癒力の底上げには魔法が使われてもいる。
間違えて、ウィルスの方も強めてしまうと一気に病状が進行し、手に負えなくなる時代もあった。
なので、より深い知識と、より現状を把握する能力、そして対応力が求められるようになっている。
だが、完全に旧世界の知識でのみの対応、又は、魔法のみでのに分かれる所もある。
魔法での際は、ウィルス自体への魔法での攻撃、及び、排除をする作用を当てる為、より鮮明で緻密な知識と技量も要求されているらしい。




