『巡り会うもの達⑮』
物語とは本人たちの知らないところで
既に起きているモノ
この出会いは果たして偶然?
この出会いは果たして必然?
グルメ施設まで、何とかシュンと来た。
”何とか”というのは、当たり前だが、自分の体力の無さが残念な事に物語っていた。
「あれ・・、意外と遅い時間帯なのに、人が居るな・・」
シュンの呟きに、周りを見てみると、確かに人が多かった。
多かったが、・・これは年齢層的に高い、大学生位が多い印象だった。
”参ったな・・”っと、シュンが呟いてる中で、視線を感じ、そちらへ振り向くと、2人組の女の子が居た。
(見た感じは、同じ位の年齢に見えるけれども・・)
視線が合っても、向こうもそのまま見てきていたので、こちらから声を掛けることにした。
『あの、失礼ですが。何か・・?』
「あっ・・ごめんなさい」
っと、黒髪の長いストレートの女の子が、本当に申し訳なさそうに謝ってきた。
「いや・・、ごめん。その”白銀”の髪色が気になっちゃって・・」
と、もう1人の子は、ちょっと色素が薄いのか、茶色くみえる髪色のショートボブの子だった。
”どうした?”っと、シュンも、こちらの気配に気づいて、こっちに辿り着いてから、お互いに自己紹介をすることになった。
ーーー
黒髪の長いストレートの、標準的な身長、体系の子は”マリ”
茶色くみえる髪色の、ショートボブの身長は少し高めで、胸は・・
(いや、胸の話題はダメだ・・、ナビさんが・・)
(「・・・・」)
まぁ・・ん、これからの成長に期待という子が”リン”との事だった。
”さん”付で呼んでいたら”そんなに堅苦しくなくても良いよ”
”シュンくんと同じく、私たちの事も呼び捨ててでもいいよ!”
っと、言うので、”いえ、もしかしたら年齢が上かも知れませんし・・”っと、答えると”えっ!私たちシエルくんと同じ年齢だよ?”っと、言われた。
『あれ・・?僕は・・、いや、俺は自分の年齢を言ったかな?』
シュンは”はぁ・・”っと、ため息をつきながら、目の前の女の子”マリ”と”リン”も少しながら驚いた表情で、こちらを見ていた。
そして、どうして分かったのかの理由を、かいつまんで説明してくれた。
ーーー
今年の入学生は特別だと噂されてること。
それは、シュンくん・・、ムシュタル大将の親ギルド派の御子息。
それに、バルくん・・、ハンネス大将の反ギルド派の御子息。
そして・・”白銀の子”シエルくん・・結界専門家の、類まれな才能を持っていた”トーリ教授とカーラ教授”の御子息。
既に、今年は何か波乱がおきるんじゃないかと専らの噂だよ?
っと、マリとリンは、少し興奮もしていたのか、息を弾ませながら説明してくれて、隣に居たシュンは”本当にそうなんだよな・・”と、うんうんと相槌を打っていた。
ーーー
とりあえず・・と、マリとリンに断りをいれて、席を確保して貰ってる間に、シュンと共に”ご飯”を取りに行くことにする。
ビュッフェスタイルのところや、専門店のところもあったが、今は2人を待たせているので、シュンと一緒に手早く、用意出来る定食に決めた。
会計はお手軽な、手のひらを黒いパネルに合わせるだけだった。
人によっては慣れているのか、触れなくても会計している節があったが”会計を示す発光”があるので、それで確認をしているようだったが、シュン曰く、マザーの目もあるから、滅多な事は出来ないし、する人も居ないだろうということだった。
それに“無銭の場合は、違ったパターンになるはずだよ”と、補足もあった。
まぁ、今は手早く定食を受け取り、マリとリンの待つ席へとシュンと一緒に戻った。
そして、もう少し話を、お互いにしたいのは共通していたようで。
話をして、もう少し分かったのは、2人は同室のよしみから仲良くなったとの事。
2人とも、何と自分と同じ寮に住んでいるということ。
っと、いう事はと、話をもう少し掘り下げて聞くと。
マリの方は“お家柄詳しくは、話せなくてごめんなさい”と、申し訳なさそうに断られてしまったが。
リンの方は、両親がギルドの職員で、それなりの地位の人なのだけれども”親軍派”と”反軍派”に、ギルドも分かれているらしく、両親共に”親軍派”との事で、ギルド派の寮だと肩身が狭いと思った為、中立派の寮にしたのだと、あっけからんと話してくれた。
シュンもそこら辺は、通じるものがあったのか”俺も・・”っと、自分の立場を話していた。
そして、3人がこちらを見て”シエルくん”の事も知りたいと、聞いてきたので。
ナビや、自分の事の中でも、話せない事は誤魔化しつつも、最近目覚めた事、記憶が未だに朧げな所もあって、一般常識を未だに、学んでる節があるところを話しつつ。
ただ、外を見てみたいと思ったのと、両親の居た”学院”という場所も知りたく、此処に来た事。
ある程度話せる事を話して、3人が”そうなると私たちが支えないとね!”っと、意気込んでいる所で、施設の少し、外れた所から”ざわめき”が聞こえてきた。
3人も、意気込んで話してるところを中断して、騒ぎが起きている方へ視線を向けて、自分もそれに倣い、視線を騒ぎの元へと向けたら、その騒ぎの張本人はこちらへと向かっていたのか、視線がまずはシュンを見て、その後は、自分の”白銀の髪”を見たのが手に取るように分かった。
そして、もう一度シュンの方へ視線を戻すと、その騒ぎの張本人は、こちらへと向かってきたのだった。
騒ぎの元は良い知らせを運んでくるのか
騒ぎの元はこれからの暗雲を運んでくるのか
それは、これから分かる事なのだろう




