『リアル③』
いつ、夢は覚める?
覚めないのは悪夢なのかい?
いつ、夢を見てる?
気付かないのは悪夢なのかい?
夢は、どうやって〝夢と分かっている?〝
(しかし、こんな作業に意味はあるのだろうか?)
いや、意味はあるのだろう。
だが、それは目に見えて〝状況〝が良ければの話だ。
(此処は──そう見ると、もう終わってるのかも知れないな)
仲間だと思っていた者たちが悪事を働き財産を失った場所。
景気も、良いわけではない。
何とか動いてはいるが、まだ残っていた血液があって、なんとか鼓動を動かしているだけであり、いつかは沈んでしまう運命なのだろう。
そんな、もう終演の一歩手前が今であり。
暗い暗い夜の灯が、こちらへ手招きをしている幻想が垣間視える。
(プラスどころじゃない。現状はマイナスだ……これはマイナスをゼロにするための”ただの工程”だ)
奪う側はよいだろう。
いや、奪う側にも何か事情があったかも知れない。
けれども、それで男の何かが救われる訳でも、この目に見える景色、心の風景が変わるわけではない。
『ダメだな──少し休憩してくるか』
男は喉の渇きを潤すために、重い身体を動かす為のエネルギーを何とか捻出して、一旦オフィスから出ることにするのだった。
そして男は階下のコンビニへと向かうためにエレベーターへと向かうのだった