『巡り会うもの達⑫』
やっぱり、身体が資本なのかね
・・・いや、ここは”筋肉”かね
『パワー』
ふぅ・・、よし。
なんとか、全ての購入した商品の転送を終えて、一息つく。
「シエル・・、お前の魔力量って、どうなっているんだ・・?」
(ん?)
何のことだ?と、シュンを見ると、疑問を浮かべたシュンの顔が、そこにあった。
オーナーさんや、店員の女性の方も、少しだけ驚いている。
どうやら、女性の手元を見ると”購入済み”の札を、手に携えていた。
「いや・・、平気そうな顔をしてるが、”普通”は大きい買い物の時は、専門の移動業者を使って、転送の手伝いをして貰うか、または、購入済みの札を貼って貰って、後日、引取をするかが一般的なんだぞ・・?」
シュン曰く、小さい買い物で、魔法量も、そんなに伴わないのならば、普通に転送を使うこともあるらしいが。
今回みたいな、大物=要求コストや、負荷が掛かるものは、転送に該当する属性に適した人ならば分かるが、基本的に適性が合わない際は効率は落ちるので、・・曰く、あり得ないとの事だった。
『あ、あぁ・・、えっと、適性があるんだよ。うん、ほら大丈夫だよ。体も動くから』
”お、おぅ”と、シュンが頷く中、”あちゃー”とも思う。
いや、分からなかった・・というよりも、やっぱり、自分の適性というか、魔力量もおかしいのか。
いや、ナビと共有体になってる時点で、想像はしていたが・・・。
(ちょっと、加減というか、常識を知らないとだな・・)
とりあえず、少しだけ、驚きから回復し始めたシュンと共に、店内から出ることにする。
「シエル・・?体が動くといってたけれども・・、帰りはどうする?」
『魔力車で、お願いします!』
即答した。
うん、当たり前だ。
魔法に関する点では、驚かせてしまったかもだが、自分でも分かる。
体力が、全く追い付いていないことに。
流石に帰りも歩くのは、勘弁だった。
そして・・、シュンに魔力車を呼んで貰いながら、待つことにする。
(魔力車か・・)
空への交通網も出来て、電車、バスの形態も変わっている。
階層分けされて、移動速度も違う事。
そして、階層ごとに走る、魔力車のタイプも違う事。
また、エリア内を走るのは、混雑を避けるため、付近の建物にも影響を与えない為に、基本的には、車のタイプのみで、利用には別途料金が追加されていること。
その他、電車、バスは、基本的にはエリア内の、端の方にホームが併設されており、そこを利用する形になっている。
そう・・、だから、途中まで電車のタイプだったので、シュンと話しながら歩いたのは、エリアの端の方からだった。
(まったく、この体力では、先を思いやられる・・)
ちょっと、体作りは、継続して頑張ろうと思い至っていると。
シュンと共に、魔力車待ち場にて待っていたところに、シュンの呼んでくれていた”車タイプ”の魔力車が来てくれた。
シュンからの提案もあり、ちょっとだけ値は張るが、途中のホームで、電車のタイプに乗り変えることも無く、そのまま車のタイプにて、学生寮エリアの自分の部屋まで帰ることにしたのだった。
”魔力車”
これの進歩は凄まじいものがあった
新たなエネルギーで動かせるのだから当たり前だ
動かせる時間も、その運転する者の適性、魔力量
そして、維持するための強度によって変わるのみなのだから
大革命と共に、職の移り変わりが激しい事もあった
これも淘汰の果てに、辿り着いた世界の一端なのだろう




