『巡り会うもの達⑪』
新世界には黒い猫さんの人たちは居るのだろうか?
・・・なるほど
銀行と輸送が合わさっているのか
魔力の適性が低い人には需要があるという訳か
購入を、決めてからは早かった。
ブリッケンさん作の家具や商品は、この”ブリッケンさんエリア”と化している場所に、すべて揃っていたらしく、オーナーさんは、少し・・いや、未だに驚きながらも、支払いに応じてくれていた。
ーーー
「シエル・・?本当に大丈夫か?」
シュンの”信じられない”という表情を横目に、支払いを終えた物を順じ、転送の準備に入る。
「すみません、こちらを・・」
女性の店員さんが、持ってきてくれた手袋を頂く。
サービスとして、なんと無料で貰えるらしいが、こちらは片方は”光”、もう片方が”闇”の回路が刻まれている。
(光は、取り出し用だな・・)
っと、なるとこちらで良いか。
片方の手袋は服にしまい込み、闇の回路側の手袋を片手にはめて、購入した商品に触れる。
(転送・・、転送・・、念じればよいのか・・?)
(「サポート致します」)
ナビのサポートもあったおかげか、両親の遺産・・、今は自分の”財産”になるのだろうか。
金庫?という表現はしっくりこないが”銀行”とも、今の世界でも”旧世界”の言葉を使っているので、そのまま、その言葉を使わせて貰うと、”銀行””金庫・・、預かり所””預かり・・”意識をして、魔力を回路に通していくと・・、ルートが見えてきた。
ーーー
【いらっしゃいませ、シエル様】
(物を預けたい)
【畏まりました。イレギュラーエリアへの移動、及び、使用申請はクリアしております。どうぞご自由にお使いくださいませ】
(ありがとう)
【以降は、こちらのイレギュラーエリアを、よろしくお願い致します。何かありましたら、是非、お問い合わせください】
ーーー
”それでは、失礼致します”と、アナウンスの声を最後に、預けるのも、引き出すのも自由になった”感覚”があった。
(次から使うときは・・)
(「はい。ナビも場所、及び、感覚は共有しております。使用する際は、導きやすいように、問題がありましたら、フォロー致します。ただ、他のエリアへの使用は、どうやら、ロックに近い”契約者=当事者”又は、関係する中で、承認を得られてる者だけになりそうですね」)
”イレギュラーエリアを使用している方は居るようですが、そう人数は多くなさそうです”っと、ナビの声を聴きながら思う。
他のエリアの使用を確認って・・、それは”ハッキング”に近いのでは・・、ないか・・?
”あ、ありがとう”と手短に、ナビにお礼を述べつつ、ナビの”フォローやサポートの大きさ”に関して、薄っすら緊張を感じたのだった。
(と、とりあえず)
『シュン、ありがとう。大丈夫だよ。とりあえず、待っててくれないか?手早く、転送処理を終わらせるから』
”いや、大丈夫だよ!”っと、シュンの声を聞きながら頷いて、返事を返しつつ、黙々と転送処理に、邁進し始めるのだった。
物の出し入れは闇属性と光属性の適性がある者には恩恵が大きい
その適性に応じて、取り出しや、預けたり、戻すのに許容量が変わるからだ
人によっては、触れるのみで転送を可能とする者も居るだろう
そして、それは物だけに限るとされている
それは、光属性も闇属性も共に、100%の適性など無いのだから
もし、それを可能とする者が居るならば・・・




