女神①
「何も……見えません──」
『ナビ──』
ナビの声が隣から聞こえる。
そして、繋いでいる手の感覚もある。
少しだけ力を込めて握ると、ナビも自分を確認するように握り返してきた。
あの後、黒い渦へと侵入しては飛翔を続けて……。
浮遊感が失くなり、ナビと共に地上? に降りたのだがそこからは視界は黒い──いや、何も見えない世界になっていた。
けれども──。
『ナビ、視えてはいるかい?』
「はい、視えてはいます──」
少しだけニュアンスを変えていうとナビからも視えていると言葉が返ってきた。
そう、魔力として見ると世界は歪に染まりきっていた。
黒いというのは、そのままの通り黒い力だ。
そして、ナビと僕は黒い力と白銀と黄金の力が纏わりついてる。
どうやら、黒い力を内包してる事によって異物として認識されていないようだった。
そして──今ナビと歩いているずっと真っ直ぐ先に……非常に弱々しいが黄金の色が視えていた。
きっと、そこが目指すべき場所なのだろう。
ナビと共に僕はそこに向かって一緒に手を繋いではお互いを認識しつつ歩いて行くのだった。




