黒い渦38
「行け! シエルよ──!!」
ハクの声が周囲に響く──。
『ありがとう──! ナビ!!』
「どこまでもお供します──!」
ナビと隣り合っては一気に切り開かれた核への道筋を飛翔する。
「シエル様──ナビ様──!」
ティターニアの声が後方から聞こえると同時に風の精霊の力を感じては更に一気に押されては加速する。
グォォォォォオ──!!
それと同じく、大星の龍の悲鳴だろうか。
巨大な鳴き声が世界を追おうが僕たちには既にそれは届かない。
空気を振るわせているようだが、その空気を切り裂くようにただ真っ直ぐと実直に核へと突き進む。
「ッ──! シエル様!!」
『迎撃しつつ進む──!』
「はい……!」
だが、黒い力も危険を感じたのだろう。
巨大な黒い渦から無数の黒い力の奔流が襲い掛かってくる。
それを掻い潜っては避けられない攻撃は切り裂いては速度を緩ませる事はなく、進み続ける。
「見えました──!!」
ナビの声と同じく──黒い巨大な柱──核が見えてくる。
『このまま──切り崩す──!!』
「はい──!」
ナビと同じく精霊剣に白銀と黄金の力を蓄えては速度を落とさずに核へと向かう。
『「ハァァァァア────!!!!」』
全ての力を込めて一閃──!
核へと斬撃を叩き込む。
ギギギギギ──ガシャァァァン。
叩き込んだ瞬間に力と力が拮抗するが──最終的には僕たちの力が勝った!
一気に核が崩れ去っていくのを感じながら……惰性のまま地上──いや、体表へと僕たちは落ちていく。
『ナビ──!』
「────」
ナビの反応が無い──!
一気に抱え込んでは障壁を展開しては地表へと衝突する。
ギュュゥ──ン!!
巨体な黒い渦から苦し紛れだろう、だが──巨大な力が振り落とされてくる。
パキパキ──パキンッ!
自分の障壁は地表への接触のダメージもあってはすぐに壊されてしまう。
再度……間に合わ──
「ッ──!」
キンッ──!
ナビの障壁が僕たちの目の前で展開されては巨大な黒い力を弾き返していた。
そして、そのまま柱の崩壊と共に黒い力は白銀と黄金の力によって浄化されていく。
「すみません、私としたことが気を失って──」
『ううん、ありがとう。危なかった──』
胸に抱き抱えていたナビがこちらを見上げてそう言ってきたので大丈夫だと伝えようと微笑みながら言うに留めた。
そのまま浄化の流れは体表まで進んで来たのだろう。
パキパキと黒い力が剥がれては白銀と黄金の力に染められては粒子に変わっていく、そして体表は宇宙を連想させるような輝く星と深い黒に覆われていっていた。
「綺麗──」
ナビが呟く中で、遠くを見ればこちらへと向かって来ている皆が見えていた。




