黒い渦31
「道を作るのじゃ──!!」
ローレンの声が地上からでも飛び立ってはハクの背に跨がり灼熱の龍へと向かう僕たちまで声が聞こえてくる。
「やってやらぁ──!!」
「ヒャッハァァ──!」
あぁ……それに合わせて盛大にまとまりが着かなそうな荒くれ者たちもローレンさんの指し示す方向性へと動いていく。
「彼らの道を切り開け──!」
ローレンさんの声が終わると同時に灼熱の龍から産み落とされてはこちらへと迎撃に動き出したシャドウの群れをローレンさんの炸裂魔法が多重に発生して道を切り開いていく。
「俺たちも続くぜぇ──!!」
そして、残されたシャドウに向かっても荒くれ者たちの魔法があちこちで展開されては一掃されていく。
「これは──凄いな……」
ハクが余りの攻撃の余波を見つつ声が漏れていた。
確かに、今までは纏まりが無くても防げていた程の火力のポテンシャルがあったのだ──それがローレンさんが指向性を持たせたことで何者も寄せ付けない位の火力に成っていた。
「掴まっておれ──!」
だが、それでも灼熱の龍へは届かない……いや、ダメージというダメージが与えられ無いのだろう。
ハクの言葉の後に軌道を大きく反らした横を灼熱の龍からのブレスが過ぎ去っていく。
「ッ──! あやつ……侵食されて尚、あれほどの火力を放つか……」
忌々しげにハクの感情が溢されているが、その歩みは止めることはなく一気に更に加速しては灼熱の龍へとハクは僕たちを乗せて羽ばたくのだった。




