黒い渦29
「そろそろ──見えてきます!」
ナビの案内が聞こえるなか、リカニアへの領海へと差し掛かる。
暗いな──。
リカニアの範囲に入る箇所からは黒い力の靄が霞んで見えていた。
「突入するぞ──!!」
ハクが言いつつ、リカニア内へと侵入をすると同時に視界は燃え盛る業火の世界に変わる。
「なんだ、これは?!」
「ど、どうなってるんだ……??」
シュンとバルが一面が業火に包まれている大地へと視線が釘付けになっていた。
ドッカァァァ──ン!!
っと、遠くから爆発音とタタタタタッ──!!
っと、何かしらを撃つような音が鳴り響くのも同様だった。
『ハク! 音のなる方へ向かえるか?』
「あぁ──!」
自分の指を指した方向へとハクは進路を転じては一気に羽ばたいていく──。
「なんだ、あれは……?!」
シュンの驚いた声が聞こえては来るが、皆が一様に驚いているのはそれぞれ皆の驚く声が聞こえて来たので分かった。
*
「ヒャッハァァ──!!」
「撃て撃て撃て撃て──!!」
「でっかいの来るぞ!! 離れるぞ──!」
「ウルセェ──!! ヒャハハ!!」
目の前の惨状は悲惨というのが正しいのか……。
周りの事などお構い無しに魔法型の銃を乱射してる者。
または高位の魔術を連発してる者。
統制など取れていないかのような様相で、ただ目の前──奥に居座っている灼熱の龍へと攻撃を各々が自由に攻撃を放っていた。
「────!」
ピシッ──!
っと、こちらへと指を向けられた気配を感じてそちらへとの目を向けると元帥の階級章を着けた老人がこちらへと指を指して来ており、それに合わせて統制の取れていなかったように見えた目の前の群衆がこちらへも攻撃を仕掛けて来ていた。
『ッ──! ハクッ! 声が届くところまで何とか近付けられないか?!』
「分かった──! 掴まっておれ!!」
ハクが声を上げつつ、目の前に迫っていた火の大規模魔法を横に避けては飛んでいく。
統制の取れてない攻撃は明確な目標だけは指定されてるようで予想だにしない攻撃がこちらへと仕掛けられてくるが、ハクが避けては自分とナビが障壁を張っては守っていく。
『僕たちは──! 敵では無いです──!!』
そして、ギリギリ風魔法を用いたら声が届きそうな所まで近付いた所で、風の魔法を借りつつ声をあげては戦闘意思の無い事を一生懸命に叫ぶ──。
────!
懸命な叫びが届いたのか、例の老人が手をあげては周囲へと指示をさせると先ほどまで自分達へと襲い掛かっていた人達は再度、灼熱の龍へと攻撃を転じさせていた。
そして、老人に付き添っていた大将だろう……階級章を着けた男性がこちらへと手をあげては着々箇所を誘導し始めてくれたのだった。




