黒い渦28
「私達は女神から産み出されました──しかし、産み出されたと言っても女神の力が分かたれて私達が産まれたのです」
「そうだな、そして我らは6つに分かれたのは知っておろう?」
『は、はい』
「では、どのような比率で分かれたかは分かりますか……?」
「いえ、その情報はどこにもありませんでした」
そこでナビが今まで得られた情報からの答えを口にする。
「そうか、では心して聞くがよい。大部分は大星の龍で……小さな欠片が我らなのだ」
『えっ?』
「シエル、ナビ──オールスローンの広さは分かりますか?」
「過去にはオーストラリアと言われていたそうじゃな」
そこへ、エリザベスさんも会話へと改めて参加する。
「そうです、オーストラリアと言われていた。その国土全てが黒い渦が発生してしまい、そこを大星の龍が防いでいたのです」
『えっと──』
「そうだ、シエルの想像通りだ。国土の広さ……それが大星の龍のサイズで強さだ。我らが力になるというのはその時の事なのだ」
「確かにそう言われますと──次はリカニアに」
「リカニアの灼熱の龍を解放してください、お願いします」
「我からも頼めるか? それにシエルよ……この黒い力、お主がもし──もしだが、女神を救ってくれるというならば、その道は大星の龍の先にあるのだ」
『──分かりました』
ハクと深海の龍に見つめられる中、自分は大きく頷くのだった。
「シエル様──では?」
『皆、次はリカニアへ行こう──いいかな?』
シエルが選んだのなら着いていくよ──。
皆の返事を受けつつ、ハクを見る。
「シエル、感謝する──さぁ、我に乗るがよい。リカニアまで飛ばすぞ──!」
皆が飛び乗ったら大きくハクは翼を広げる。
「シエルよ? わらわもお主達に加勢に向かうがゆえ、待っているがよい。今の話は世界へと繋いでおこう。気をつけて行くのじゃぞ?」
『はい──!』
自分の声を聞いて、エリザベスさんは満足そうに頷いてはこちらへと手を振ってくる。
それに皆で応えて手を振る中で、ハクが羽ばたき始めて浮上する。
バサッ──!
1つ大きく羽ばたいて、自分達はリカニアへと向かうのだった。




