黒い渦27
「なるほど、ロイアの状況は……シエルよ?」
『は、はい……』
「ロイアへの道は既に浄化されて安全なのじゃな?」
「──それは私が保証しましょう……」
エリザベスさんの言葉に呼応するように、目の前にティターニアが妖精の女王が現れる。
『ティターニア……?』
「はい、私ですシエル。あなたが解放してくれて浄化され精霊が住まう領域は全て私のテリトリーです」
「むっ? ティターニア? 妖精の女王……?」
エリザベスさんが疑問の浮かべた表情になったので、ティターニアとの経緯を改めて説明する。
「ほぅ──なるほど、それで保証出来るというのは?」
「精霊が無事なのを伝えて来ております」
「ふむ、第2艦隊の船長へ伝達──! 至急、ロイアへの支援を準備して出立せよ……!」
「ハッ──!」
エリザベスさんの指示に敬礼をしては騎士が走り出していく。
『エリザベスさん……?』
「全ての世界の民は庇護下にある、わらわはそれに従って手を差し伸べるのみじゃ」
そう言って顔を少しだけ背けていたが、エリザベスさんの頬は少しだけ高揚していたのは見逃すことにした。
「そう言うことならば、私がロイアまでの道を案内と保護を致しましょう」
「良いのかえ?」
「えぇ、精霊は人と寄り添いあうもの。そして、何より私を産み出した主様はそれを望むはずですから──」
そう言って頭を下げるティターニアにハクから、その通りだ──と声が飛んできていた。
「主様……」
「ティターニアよ、頼むぞ」
「はい──! 尽力を尽くします」
そして、ティターニアはフワッと消えていく。
『ハク? 深海の龍とは……』
「うむ、しっかり情報を与えたぞ」
チラッと後ろを見たので、その視線を追うと、自分とナビを見つめている深海の龍と視線が合う。
「シエル、ナビ──ありがとう。情報はハクから話して頂きました。私も回復を終え次第、あなた達を助けに参ります」
そう言って頭を深々と深海の龍は下げてくるのだった。
「シエルよ? そうなると、残りはリカニアとオールスローンじゃな?」
『はい──』
「シエルよ、リカニアに向かうぞ」
「何か理由が……?」
ハクがエリザベスさんとの会話に入って次の行き先を告げてくる。
それにナビが疑問の声をあげる。
「それが良いでしょう──オールスローンに居る大星の龍は私達とは別格なのですから……」
そこへ深海の龍も話に加わってるのだった。




