『巡り会うもの達⑧』
この世界の全てを、まだ彼は知らない
少しずつでも、学んでいけばいい
彼には既に、最高のパートナーが居るのだから
きっと、大丈夫だろう
「ここの寝具は、一味違うんだよ」
それが、シュンの言葉だった。
全ての寝具、及び、家具に魔法紋が刻まれてるとの事だった。
更には、家具類は、普通は使っていけば、消耗してくるのが一般的だが、消耗防止の魔法紋も、重ねて刻んでいるらしく、半永久的に、大切に扱えば、使い続けられるという話だった。
(…いや、待て)
〝魔法紋〝とな?
…少しだけ、シュンが、店内のオーナーさんと挨拶を交わしてる間に、情報を調べることにする。
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【魔法紋】
始まりは、魔法属性の回路の発見が、最初だった。
魔法を発現する際には、人体の何処かしらに、魔法紋が浮かび上がる事には、早期に気付いた。
そして、驚くことに、その魔法紋は綺麗に〝6つ〝の属性に分かれている事が分かった。
魔力層にて、漂っている魔力は〝ただの魔力〝である。
それを保有し、変換できる〝魔力量〝そして、魔法を発現させる為に維持できる〝強度〝それに、個人の保有する魔法紋という〝回路〝によって、魔法という”超常現象”が発現出来るというのが現在の見解だ。
但し、その個人の持つ回路の属性だけ、魔法を発現出来る訳ではなかった。
個人差は大きくあるが、物に刻まれた魔法紋を、回路として、魔法を発現する事により、適性のある者よりは劣るが、その属性に呼応した魔法が発現する事を確認している。
但し、劣る差は個人差が大きいため、しっかりとした、数値は出せていないのが現状だ。
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※備考※
魔法紋は常に1つだと思われていたが、〝魔力水晶〝の開発により、その常識は覆った。
魔力を通すことにより、発現している魔法紋が分かるのと、その通せる魔力量、そして、通す行為を続けられる強度を、測定出来るのだが、稀に、魔力水晶に浮かぶ紋が複数、発現している者が散見された。
但し、100の魔力を等しく、全て100で発現している訳ではなく、その割振りは個人差が大きいとの事。
例:
100→風40水60
100→風30水30火40
など、トータルで100に近い形になるように思えた。
※これはまだ、未確定な情報である※
確認出来る者も少なく、そして、100を発現者によっては、意思によって、割り振れる可能性もあるのかも知れないとの事。
但し、確実なのは1つ、全ての魔法紋が綺麗に100に近い形で顕現したのを、この魔力水晶が開発されてから確認された事例は未だに無いことだ。
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(「ヒューズさんの使っていた〝フィットホン〝も同じです。あれも、魔法紋が刻まれています」)
ちょうど情報を、流し読み終えた所で、ナビからも補足があった。
なるほど、ね。
(…そうなると、自分はどうなるのやら…)
ちょっとだけ、〝白銀の髪〝に触れて、思考に埋もれそうになったところで。
「おーい!シエルー!」
っと、シュンの声が聞こえてきた。
どうやら、オーナーさんとの会話が終わったようだ。
愛想の良い笑顔を浮かべながら、そのオーナーさんが、丁寧に頭を下げて、自分を迎えてくれた。
とりあえず、行かないとな。
白銀の髪に触れた手を、離して戻しつつ、俺はシュンの下へと、歩を進める事にした。
魔法を扱える者しか、現在の世界には存在し得ない
そして、魔法を扱える者は”祝福”なのか、魔法紋を持っていた
それに準じた回路に合わせた属性の、適性の魔法を人は扱える
だが、補うように、他の刻まれた魔法紋の属性を、物を通すことで、使うことも出来る事はする
だが、それが完璧に扱えるとは限らない
あくまでも、適性に合わせた魔法が得意なのだ
それを見通すことが、判定出来る”魔力水晶”が開発されたのは大きいのだろう
それによって、人類は一層、繁栄への道を歩み始めたのだから




