黒い渦⑪
「あ、あぁ──!!」
ダメ……
装置の魔力の供給が終わっちゃうと……
少女は声をあげつつ、かなり消耗していたのか意識を手放しそうになるが何とか踏みとどまったようだった。
「こっちは全部繋がりを切ったよ!」
「この子のも大丈夫──!」
リンとマリが装置への魔力の供給の繋がりを断ち切ったのを伝えるとレイはそっと装置へと手を差し伸べて力を──白銀の繋がりの力を注ぎ込む。
ズンッ──!
っと、一気に装置から音が響いたと思ったら光の結界は白銀色へと──微かに黄金の力を纏わせながら周囲へと展開されていく。
それと同時に光の結界へと殺到していたシャドウ達は一掃されていく。
「この力は……?」
少女の目は先ほどの死の纏ったものから、希望へと転じて行くなかで周囲に隠れて居たのか精霊が現れ始める。
この暖かいのナニ……?
これ知ってる
知ってるじゃない
シエル
シエル?
遠い場所の暖かい人
ここにも来た──
人、助ける
癒す
「これは……」
「私たちはヒノモトから来ました。チェニスを救ってここまで」
「ヒノモト──?」
驚く彼女に精霊が何体か近寄っては少女の身体を癒すように見に纏って消えていく。
「身体も……魔力も……軽く」
「大丈夫──?」
「は、はい。あの私は……」
「いえ、私が先に私はヒノモトを納める弟2世女王の娘──マリです」
「えっ──その名前は父から……聞いたことが……、私はロイア第2皇帝娘のエル──です」
そう言ってエルは頭を下げようとするが、まだ回復しきっている訳ではなくて身体の痛みに顔を歪める。
「無理しないで──」
「は、はい……。もうお父様、側近は居なくなりました……」
マリがゆっくりと起こしあげる中でエルは周りを見つつ言葉をこぼす。
これはいったい──。
傷が消えていく……。
周囲の僅かに生き残った人達の声が周囲へと響いている。
それぞれ、精霊が彼ら彼女らを守るように漂っていた。
「上手くいった──」
レイがポツリと言葉をこぼしては、今だ遠くで漆黒の龍へと対峙しているシエルとナビへと思い浮かべる。
「頑張れ──」
レイはそう2人を応援しては振り返ってはマリとリン達へと足を進ませるのだった。




