黒い渦⑨
「あやつ──問答無用に攻撃をしおって──」
漆黒の龍からの猛攻撃を避けながらハクが吐き捨てていた。
「ッ──!」
ナビのバリアもハクへの直撃ルートになりかねない攻撃を防いでいるが──漆黒の龍の攻撃は強く相殺されてしまっていた。
『少し助力します──!』
ナビの思考はダイレクトに伝わってくる。
ナビのサポートしきれない部分にバリアを展開してはハクの進行の手助けをする。
「シエル……後少し!」
レイの言葉が聞こえると共に確かに眼前に光の結界は見えてきていた。
けれども、その前に──。
「ッ──! あやつ、我らを通したくは無いようだぞ!!」
ハクが言うの言うことは分かる。
確かにどんどん近付くほどに、漆黒の龍の攻撃はどんどん苛烈になっていっていた。
いや、なりふり構わないという感じか……。
「────シエル様」
うん──。
ナビの視線は無くても気持ちが伝わってくる。
『ハク──そのまま真っ直ぐ!』
「むっ? だが、大丈夫か──?」
『漆黒の龍の横を通りすぎる時にナビと共に降ります──!』
「──分かった」
「シエル様……! 来ます!!」
ナビの声と共に目の前を見れば漆黒の龍は攻撃の手を緩めるのと同じく、そのリソースを形の無いシャドウを産み出す方へと回したのか大量にこちらへとシャドウが飛来して来ているのだった。




