328/371
黒い渦②
「むっ──! シエルよ! 備えよ──!!」
飛行中のハクから声が掛けられる。
「シエル様──!!」
『あぁ──!』
「シエルくん──何か来るの?!」
リンから疑問の声が掛けられる。
『前方にシャドウの気配──多数居る!!』
「皆、我に掴まれ──! 押し切る!!」
前方に多くのシャドウの群が──形を持たない黒い存在が多数押し寄せて来ていた。
「シエル様──!!」
そっと、ナビが手を伸ばして来て、自分とハクを掴む手を重ねる。
『ハク──少しだけだけれども!』
そして、ハクが展開している白銀の結界に黄金色が混じっていく。
「おぉ──! これは神の輝き──!!」
ハクが速度を上げながら声を震わせる。
そのままハクは目の前のシャドウの群へと突っ込むが結界が働いているのか──当たるシャドウの群は結界に触れる度に浄化されていっては消えていく。
「流石──だ。では──このまま行くぞ!」
そして、更にスピードをあげては遂に前方に見えてきた黒い渦が迫って来ているのだった。




