黒い渦①
そこからは皆の行動は早かった。
「まずはこのヒノモト……我の守護する場所にある黒い渦を浄化したい──」
ハクの言葉だが、それには皆が同意をしていた。
移動ルートなのだが、ハクの背に白銀の力で僕たちを固定して移動して貰う算段になった。
実際に戦闘等になったら、各自飛んで移動するように打ち合わせた。
飛行する力に限っては皆へと繋がっているパスからの魔力で飛べることは賭博エリアから行政エリアへと飛んだ際に分かった事だった。
「───うん、大丈夫そう」
「レイちゃん、大丈夫そうかな?」
「うん」
ナビとレイはお互いに確認しあいながらもお互いの装備の確認を行っていた。
*
『では、行ってきます──』
自分の言葉に見送りに来てくれていた皆が応えてくれていた。
見送りに来てくれていたのは、ノーラさん、シリウスにヘルメス、ブリッケンさん、そしてガイウスさんとドルマンさんだった。
既にハンネスはファナの後任として国の守護に動いていて、イアンさんはリンクスとして、ムシュタルさんは軍を指揮していた。
ギルドに関しては、そもそもエリア単位でも動いているので──それぞれ元の担当エリアへと引き上げていた。
『ハク──お願い』
「うむ、我にしっかりと掴まれ──行くぞ!」
ハクが一鳴きすると同時に地上から空へと舞い上がる。
「黒い渦までは私の復活した結界で行けるところまで行く──そこからは……」
「はい! 私とシエル様が先行して対処に向かいます」
『皆は何かあった際のバックアップをお願い……!』
「うん──」
レイが頷きつつ、袖をギュッと掴まれ──他の皆も頷きつつ返事を返してくれていた。
「では、速度を出すぞ──!」
白銀の力を薄く伸ばして皆へと繋いでいるのを確認する。
ハクもそれを確認したのか、一気にスピードをあげては僕が僕として──ナビがナビとして生まれた場所へと黒い渦へと一気に飛んでいくのだった。




