世界の真実⑥
「シエル──俺たちも着いていくよ」
「わ、私たちも──!!」
「────」
シュンとバル、マリとリン、それに無言で近寄ってきては袖を握って来ているレイが居た。
「……私も行かせて貰お──」
「ハンネス──それは許さぬ」
むっ──とノーラさんに言われてハンネスがノーラさんへと見つめ返していた。
「お前には……ファナの抜けた部分──この国の守護をお願いしたい」
「──? いえ、しかし……私は──」
「お前にしか頼めないことだ」
「────」
女王……ノーラさんの視線に負けたのか、ハンネスは諦めたように首を振っては進み出た足を引っ込めていた。
「お母様……」
「マリ、あなたの事は分かっています。離れたくないのでしょう? 無事に帰ってきなさい、それが私があなたに伝える言葉です」
「ありがとうございます──」
マリが頭を下げていた──横ではシュンはムシュタルに、リンはイアンとドルマンさんに、バルもハンネスから激励を貰っていた。
「──着いていっていいの?」
「────」
『──あぁ』
レイがまだ自分が返答をしていないことに気付いていたのか不安そうに見てきていた。
ナビに関しては自分からの言葉が良いとの判断なのか視線を投げ掛けて来るばかりだったので、自分の口からしっかりと答えをレイに伝えると更に袖を握る力が強くなった。
「ハク──大丈夫ですよね?」
「このくらいの人数、我には余裕だ」
ナビの確認の言葉は連れていっても良いのか? ではなく、その先の移動手段の部分を問いかけていたのだろう。
それに応えるようにハクは余裕を持って応えてきていた。
「シエルよ──」
「ガイウスさん……」
「周りに流されて来たという訳ではないからな──」
周囲の光景を見つつ、ガイウスさんは少しだけらしくなく、誤魔化すように言葉を紡いでいた。
「私の方も準備を整えたらシエルのもとへ向かおう」
『ありがとうございます──』
ガイウスさんの準備とは飛行艇の事だろう、その準備が出来次第来てくれるという意味だと察せられた。
「むっ! シエルよ! ワシの方もだ──今度は助けて、フォローしてみせる」
今度とは……、両親の事とかだろう。
強い意思を持ってドルマンも自分へと言葉にしていた。
「リンクスも今急造の飛行艇が出来次第、向かう。だから、死ぬなよ──?」
ドルマンの隣──性格にはリンを間にして隣に居たイアンも伝えて来る。
「シエル、ナビ──」
「ノーラ様──」
「重荷を背負わせてしまってごめんなさい。この国──ひいては世界の為に戦ってくれるでしょうか?」
『元より、そう選択致します』
「私はシエル様の手助けなら、どこまでも……」
「ありがとう、どうか無事で戻ってきて下さい」
ノーラさんからナビと共にハグをされてしまう。
──少しだけ母の温もりを思い出しそうになった所でノーラさんは離れていく。
「シエル──」
「シエルよ……」
「僕はここに残らないとかな」
「我も……先にいけなく申し訳ない」
ノーラさんの離れたタイミングを窺っていたようにヘルメスとシリウスがこちらへと歩み寄ってきていた。
「すまねぇな、シエル坊。2人とも……正確には外には出れないのだ」
『今なら分かります──』
ハクからの説明でも分かったが、2人は下を辿るとハクが産み出した存在とも言える。
世界には魔力が溢れているが、ここヒノモトはハクの影響下が濃い。
濃いゆえに、外の違う龍の魔力の影響下の下では活動辞退が厳しい可能性が高い……いや、既に精霊としても感じていたのだろう。
『ありがとう、ヘルメス、シリウス──僕は行ってくるから、僕の居ないヒノモトの守りをお願いするよ?』
「あぁ、任された」
「うん、シエルがびっくりするくらい守ってみせるよ!」
自分の言葉に今度は嬉しそうにシリウスとヘルメスは返事を返して来ていたのだった。




