世界の真実②
「来たか──解放者よ……」
自分とナビを視界に納めた白銀の龍はそう言って──いや、意識が伝わってきていた。
その意識は周囲を見る限りはある程度の範囲内までは伝わっているようで何名かがこちらへと視線を投げ掛けて来ていた。
『白銀の龍──僕にどんな話が……?』
「その前に──そこの精霊……いや、人か? いや……、お主も人とはもう既に違うな……?」
白銀の龍が話し始める前の確認をしようとしたところで、こちらを見ては訝しげな視線を浴びせてくる。
「やはり……あの方と同じ気配がする──」
「えっと──すみません、あの方とは……」
ナビが恐る恐る白銀の龍へと尋ねるが──。
「そうか、我の呼称が無いのか。我は白銀の龍と呼ばれているのは知っておったが──私には名が無いのだ。そうだな、シエルと言われていたな? お主、我に名を授けてはくれぬか?」
『えっと……僕で良いのですか?』
「お主が良い、そこのナビと呼ばれているのか──でも良いが、我はお主が良い。あの方と同じ気配が……いや、もう同じと言っても良いかも知れぬお主が良いのだ」
そう言って、ジッと白銀の龍はこちらへと視線を合わせて来ていた。
『では……ハクで──』
チラッとシロを見てしまう。
彼女の……マザーの名前の由来も白銀のハクだと味気ないとの事でシロにしたとノーラさんから伝え聞いたが……自分は敢えてそのままハクと呼ぼうと思ったのだった。
シロも自分の視線の意味が分かったのか、少しばかり……しょうがない人だと言うように方を落としてはこちらを見返して来るのみだった。
「ふむ……ハクか。ハク──良いではないか!」
ご満悦なのか、伝わって来る意識に喜色を馴染ませながらグルルルとハクは咽を鳴らすのだった。




