白銀の龍②
シ──エル──。
リ──ン──。
その時だった。
自分達の持っていたリンクスの通信機が反応をしていた。
「お兄ちゃん──!」
「リンか! 無事か──!!」
「お兄ちゃん──!!」
そこからリンは今までの状況の説明をかい摘まんでしつつ繋がったイアンさんへと助言を求めていた。
「俺達も何とか周囲をねじ伏せて向かっているが──あれが噂の白銀の龍なのか?」
「──シエルは居るかね?」
『は、はい! ガイウスさん……』
「私たち軍も、後はドルマンのやつも動いてそちらへ周囲のエリアのギルドが動いて向かっているはずだ。耐えてくれないか? すまない、叔父の立場で──」
『いえ、耐えてみせます』
「シエル? 無理はするなよ? 俺たちの方も今溢れ出てるシャドウを倒しつつ、そちらへ向かう」
『分かりました』
「……ハンネスは居るか?」
「……ムシュタルか」
「……すまなかった」
「分かってる。私もお前の立場なら同じく動いてるはずだ」
「生きて会おう」
「────ぁぁ」
ハンネスはどこか苦しそうにいや、でも新たな覚悟が決まったようにその目には炎が宿っているようだった。
そして、リンクス経由の通信が目の前の白銀の龍から放たれる歪な魔力により掻き消されていく。
「シエル──。あの時は私を助けてくれて感謝する」
『いえ、今こうやってあなたと共に戦えているのが一番の得難い事だと思います』
「その借りも今清算させて貰おう──地上の敵は任せてくれたまえ。なんぴたりともここへは来させない」
「ええ、私も付き合います──行きましょう」
そして、ハンネスとシロは転移ポータルから地上へと消えていく。
「シエル? 僕はここを守るよ」
「あぁ、ここは我たちに任せてくれ──ブリッケンも居るからな」
「──わりぃな、シリウス」
「今さらだ、構わん」
『分かった、ありがとう……』
「シエル様……白銀の龍が動き始めています」
ナビの声で白銀の龍を見てみると──ハンネスとシロが地上で暴れ始めたのだろう。
そちらへと視線と警戒を向け始めている白銀の龍が居た。
「シエル──俺たちは……」
『このままノーラさん達とヘルメスとシリウスのサポートをして貰いたい』
「うん、分かった」
シュンの言葉に返事を返すと、リンが頷いていた。
「シエル様──」
『うん、行こうナビ』
ナビの手を繋ぐとそこからお互いに白銀の力を循環させていく。
そして、高まりあったタイミングで大きく飛翔して一気に白銀の龍へとナビと自分は躍り出るのだった。




